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CBDCA | カルボプラチン | |
CDDP | シスプラチン | |
CPT-11 | 塩酸イリノテカン | |
DTX | ドセタキセル | |
EGFR-TKI | 上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤 | |
ETP | エトポシド | |
MMC | マイトマイシンC | |
PAC | パクリタキセル | |
VBL | ビンブラスチン | |
VDS | ビンデシン | |
VNR | ビノレルビン | |
プラチナ製剤 | CDDPとCBDCAの総称 | |
第3世代抗癌剤 | CPT-11, DTX, GEM, PAC, VNRの総称 | |
3D-CRT | 3-dimentional conformal radiation therapy | 3次元原体照射 |
ENI | elective nodal irradiation | 予防的リンパ節照射 |
IF | involved field | 病巣部(病巣関連)照射野:主として肉眼的腫瘍体積(画像上明らかな腫瘍病巣部)に限局した照射野を意味する |
OS | overall survival | 全生存期間 |
PS | performance status | 一般状態 |
V20 | 20Gy以上照射される肺体積の全肺体積に対する割合 |
補足:根治照射可能症例の定義
CP療法 | 胸部放射線治療 | 60Gy/30回(6週),day1〜 | |
---|---|---|---|
化学療法 | カルボプラチン(AUC=2),day1, 8, 15, 22, 29, 36 | ||
パクリタキセル 40mg/m2, day1, 8, 15, 22, 29, 36 | |||
⇨ | カルボプラチン(AUC=5), day1 2コース | ||
パクリタキセル 200mg/m2, day1 2コース | |||
CD療法 | 胸部放射線治療 | 60Gy/30回(6週),day1〜 | |
化学療法 | シスプラチン 40mg/m2, day1, 8, 29, 36 | ||
ドセタキセル 40mg/m2, day1, 8, 29, 36 | |||
高齢者 CBDCA療法 |
胸部放射線治療 | 60Gy/30回(6週),day1〜 | |
化学療法 | カルボプラチン 30mg/m2, 合計20回の投与を40Gyまでの照射日に一致して照射前60分以内に投与 |
DVH | dose-volume histogram | 線量体積ヒストグラム |
MLD | mean lung dose | 平均肺線量 |
V20 | 20Gy以上照射される肺体積の全肺体積に対する割合 | |
V30 | 30Gy以上照射される肺体積の全肺体積に対する割合 |
小細胞肺癌を対象にしたSWOGのランダム化比較試験においてプロトコール違反症例の生存率は有意に不良であった18)。非小細胞肺癌を対象としたEORTCによる化学放射線療法のランダム化比較試験ではプロトコール違反が20%程度起きており,品質管理モニターの必要性が示されている19)。同様の報告は他のグループからもなされ20)21),多施設臨床試験では,試験の質を上げるために照射野,線量などの定期的なレビューが必要である。
これらのエビデンスは多施設ランダム化比較試験を基にした後ろ向き分析あるいは分析疫学的研究であるが,放射線療法の品質管理の必要性はランダム化比較試験で検証する性質のものではなく,その重要性は明白と考えられるので推奨グレードはAとした。
CDDP | シスプラチン | |
CPT-11 | 塩酸イリノテカン | |
DTX | ドセタキセル | |
ETP | エトポシド | |
GEM | ゲムシタビン | |
MVP療法 | マイトマイシン,ビンデシン,シスプラチン併用療法 | |
PAC | パクリタキセル | |
VNR | ビノレルビン | |
第3世代抗癌剤 | CPT-11, DTX, GEM, PAC, VNRの総称 | |
CRT | Chemoradiotherapy | 化学放射線療法 |
OS | Overall survival | 全生存期間 |
RR | Response rate | 奏効率 |
SST | Superior sulcus tumor | 肺尖部胸壁浸潤癌 |
肺尖部胸壁浸潤癌(SST)では外科治療を基本とした治療が行われ,術後30日以内の死亡率は4〜8.9%である1)〜3)。Paulsonの報告以来,放射線療法あるいはCRTを外科治療に組み合わせた集学的治療が行われてきた1)〜8)。SSTは稀な疾患であり,大規模な術前CRTに関するランダム化比較試験やメタアナリシスは報告されていない。そのためSSTに対して術前にCRTを施行することのエビデンスは明確ではないが,SWOG9416/INT0160では9),術前治療のnonPD率は86%,完全切除割合が75%であり,長期経過観察による生存期間の中央値は36カ月で5年OSは44%であった。また,KunitohらはSSTに対する術前CRT+手術治療の第Ⅱ相試験を行い(JCOG9806),術前治療のRRは61%で完全切除割合は68%,全例の5年OSが56%であったと報告した10)。放射線治療についてはいずれの試験においても,原発巣および同側の鎖骨上窩に限局した照射野で行われ総線量は45Gy/25回であった。N1症例でも肺門リンパ節は照射野に含めていない。併用した化学療法はCDDP+ETP(SWOG9416/INT0160),MVP療法(JCOG9806)であり,第3世代の抗癌剤は用いられていない。以上より,2つの第Ⅱ相試験の結果は従来の治療成績(5年OS:23〜36%1)3)6)〜8))をはるかに上回るものであり,切除可能な臨床病期T3-4N0-1症例に対しては術前化学放射線療法を施行後に外科治療を行うよう勧められるとし,推奨グレードをBとした。
一方,SSTでは術後CRTに関してもランダム化比較試験やメタアナリシスは報告されていない。唯一,GomezらはSSTに対する手術治療+術後CRTの第Ⅱ相試験を行い,完全切除割合は72%で全例の5年OSが50%であったと報告した11)。しかしながら,本試験では,エントリー時の手術の可否基準が不明確であることに加え,登録期間が1994年から2007年までと長く,症例数も少なかった。したがって本研究の質に問題がある点は否めないことから,SSTに対する手術治療+術後CRTの有効性は推奨するだけの根拠に乏しいと考え得る。