b.Slotmanら4)はEDで初期治療に反応したもの(PR症例が87%)に対するランダム化比較試験を行い,PCIにより生存期間中央値が約1カ月延長すること(6.7カ月 vs 5.4カ月,P=0.003)を報告しているが,登録前に脳転移の有無が画像診断により確認されていたものが29%にとどまっているなど,試験デザインの問題が指摘されていた。 2014年に,本邦で行われた第Ⅲ相試験の結果が報告された。プラチナ併用初回化学療法後に奏効した脳転移のないEDに対するPCI施行群とPCI未施行群との比較試験である5)。12カ月時点で脳転移の出現頻度は,PCI施行により有意に減少したが(32.4% vs 58.0%),主要評価項目であるOSは中間解析の結果,10.1カ月と15.1カ月(P=0.091)であり,早期無効中止となった。今回の試験結果を踏まえ,本邦においては,EDにPCIを追加する意義はなく,推奨グレードをDとした。
5)Seto T, Takahashi T, Yamanaka T, et al. Prophylactic cranial irradiation (PCI) has a detrimental effect on the overall survival (OS) of patients (pts) with extensive disease small cell lung cancer (ED-SCLC): Results of a Japanese randomized phase III trial. J Clin Oncol. 2014; 32: suppl. abstract 7503. (II)