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Ⅲ.小細胞肺癌

再発小細胞肺癌

文献検索と採択

再発小細胞肺癌

本文中に用いた略語および用語の解説

AMR アムルビシン
CDDP シスプラチン
CPT-11 イリノテカン
ETP エトポシド
NGT ノギテカン
BSC best supportive care 緩和治療
G-CSF granulocyte colony stimulating factor 顆粒球刺激因子
MST median survival time 生存期間中央値
OS overall survival 全生存期間
SCLC small cell lung cancer 小細胞肺癌
再発小細胞肺癌におけるSensitive relapseとRefractory relapseの分類について
 再発小細胞肺癌に対するCDDP+ETP1),ETP2),teniposide(本邦未承認)3)など多くの第Ⅱ相試験において,初回化学療法終了後から再発までの期間が長い患者は,再発後の化学療法の奏効率が高いことが報告されている。このため,初回化学療法が奏効し,かつ初回治療終了後から再発までの期間が長い患者(60~90日以上の場合が多い)は「Sensitive relapse」,それ以外は「Refractory relapse」と定義されることが多く,Sensitive relapseのほうが再発時の化学療法の効果が高く,生存期間が長い4)5)

樹形図

再発小細胞肺癌に対する化学療法 再発小細胞肺癌に対する化学療法 再発小細胞肺癌に対する化学療法
4-1.再発小細胞肺癌に対する化学療法
推 奨

a.Sensitive relapseには,化学療法を行うよう推奨される。(グレードA)

b.Refractory relapseには,標準治療は確立していないが,全身状態を考慮したうえで,化学療法を行うよう推奨される。(グレードC1)

エビデンス
a.
初回治療終了後45日以上経過して再発を認めたSensitive relapseでは,BSCと比較してNGTでOSの有意な延長が報告されており6),Sensitive relapseに対しては化学療法を行うことが推奨される。
 Sensitive relapseに対して,これまで複数の第Ⅲ相試験が報告されている6)~11)。このうち4つの比較試験では,いずれもNGTの有効性が報告されているため,現時点ではNGTがSensitive relapseに対する標準治療とみなされているが,各臨床試験の症例数が少なく,確立したものではない。しかし,本邦で行われたJCOG0605では,NGTに対するCDDP+ETP+CPT-11併用療法の優越性が比較第Ⅲ相試験で証明された(MSTで18.2カ月vs 12.5カ月)。よって,患者の条件が許せば同併用療法はオプションの1つとなり得る11)
 Sensitive relapseに対する複数の比較試験や第Ⅱ相試験により,ETP2),CPT-1112),AMR10)13)14)の有効性が報告されているが,いずれも第Ⅲ相試験で有効性が確認されておらず,標準治療とはみなされていない。
 比較的全身状態が保たれたSensitive relapse患者に対して,初回化学療法と同じレジメンを再投与すること(re-challenge)の有効性も報告されているが15)16),1980年代の古い報告であり,これ以後re-challengeの有効性を前向きに検討した報告はなく,その意義は確立していない。
b.
Refractory relapseに対する化学療法の意義は確立していない。しかし,再発小細胞肺癌に対するNGTとAMRの第Ⅲ相試験のサブグループ解析では,Refractory relapseにおいて,MSTがAMR 6.2カ月vs NGT 5.7カ月(P=0.0469)と,AMRにより生存期間の有意な延長を認めている10)。また,本邦においてもRefractory relapse症例に対するAMRの第Ⅱ相試験が行われ,奏効率は32.9%,MSTは8.9カ月であった17)。全身状態が良好な患者では,AMRを含む単剤の化学療法の実施を検討すべきである。
引用文献

レジメン:再発小細胞肺癌

AMR療法 AMR 40 mg/m2, day 1, 2, 3 q3w
NGT療法 NGT 1.0 mg/m2, day 1, 2, 3, 4, 5 q3w
CDDP+ETP+CPT-11療法
(G-CSF製剤予防投与有)
CDDP 25 mg/m2, day 1, weekly for 10 weeks
ETP 60 mg/m2, day 1, 2, 3, on weeks 1, 3, 5, 7, 9
CPT-11 90 mg/m2, day 1, on weeks 2, 4, 6, 8, 10
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