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Ⅰ.診 断

補助診断マーカー

文献検索と採択

補助診断マーカー
6-1.補助診断マーカー
推 奨
腫瘍マーカーは,診断や病勢評価の補助マーカーとして行うことを考慮してもよい。(グレードC1)

a.血清可溶性メソテリン関連ペプチド(SMRP)値の測定を考慮してもよく,その測定値が病勢と相関する場合もある。

b.オステオポンチンは診断に有用とならないようである。

c.胸水中のヒアルロン酸やSMRPの測定が侵襲的診断法の補助となる場合もある。

エビデンス
a・b・c.
血清の可溶性メソテリン関連ペプチド(SMRP)値について16研究から中皮腫1,026例および対照症例を含む4,491例のメタアナリシスで,2.0 nmol/Lをカットオフ値とすると,感度は19%~68%,特異度は88%~100%であった。Ⅰ-Ⅱ期の中皮腫とハイリスク群でのROC解析では,AUC=0.77(95%CI:0.73-0.8)であった1)2)。中皮腫を疑う症例で高い特異度のレベルで血清メソテリンが陽性であった場合には,次の診断手順に進むことが強く推奨される。しかし,感度が低いことから,早期診断での有用性は限られる。
 SMRPとオステオポンチンをプロスペクティブに解析した報告では,血清SMRPの変化と化学療法による腫瘍縮小には有意な関連が認められたが,オステオポンチンでは認められなかった2)~4)
 中皮腫50例を含む334例の日本人で胸水ヒアルロン酸について行われた検討では,ROC解析のAUC=0.832(95%CI:0.765-0.898)で,100,000 ng/mlをカットオフ値とした時の感度は44%,特異度は96.5%であった5)。感度が低いことから,早期診断での有用性は限られるが,中皮腫を疑う症例で高い特異度のレベルで胸水ヒアルロン酸が陽性であった場合には,次の診断手順に進むことが推奨される。
 血清,胸水中のバイオマーカーだけで中皮腫の診断を行うことは難しい6)
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