一般演題(ポスター)37
胸膜中皮腫2
座長:関戸 好孝(愛知県がんセンター研究所分子腫瘍学部)
P-300.胸膜悪性中皮腫におけるGLUT-1,MCT-1,MCT-4の免疫組織学的発現および診断における有用性の検討
茂木  愛1,4・鍋島 一樹1・上杉 憲子2・上野 孝男3・田村 和夫4・岩崎 昭憲3・白日 高歩5・岩崎  宏6
福岡大学病院 病理部1;筑波大学分子病理学2;福岡大学病院 呼吸器乳腺内分泌小児外科3;福岡大学病院 腫瘍血液感染症内科4;福西会病院5;福岡大学病理学講座6

【はじめに】胸膜悪性中皮腫は増加傾向にある悪性度の高い腫瘍であり,その予後は不良である.小さな生検材料で診断を行なうことが必要とされるが,浸潤部が十分に得られていない場合,良悪の判定が困難であることも多い.いくつかの分子の免疫組織化学的発現が利用されているが,未だ十分ではなく精度の向上が求められている.近年,多くの悪性腫瘍で解糖系を介した糖代謝の亢進が報告されている.腫瘍細胞はGlucose transporter-1(GLUT-1)により糖を取り込み,代謝の際に多量に産生され,アシドーシスによる細胞死を引き起こす乳酸をmonocarboxylate transporter(MCT)によって排出している.今回胸膜悪性中皮腫におけるGLUT-1,MCT-1,MCT-4の発現を免疫組織化学的に評価し,診断における有用性を検討した.【方法】1980年から2009年に福岡大学,九州医療センターで診断された胸膜悪性中皮腫34例,反応性中皮細胞過形成20例で免疫染色を施行し,臨床病理学的に検討した.【結果】胸膜悪性中皮腫と反応性中皮細胞においてGLUT-1,MCT-1,MCT-4はそれぞれ55.9% vs 0%,79.4% vs 15.0%,88.2% vs 0%といずれも有意差を持って悪性胸膜中皮腫に高発現であった.【まとめ】他の癌腫と同様に胸膜悪性中皮腫において,糖代謝の亢進が示唆された.またGLUT-1,MCT-1,MCT-4は胸膜悪性中皮腫の診断にあたり良悪判定の有用なマーカーになりうることが示された.
第50回日本肺癌学会総会 2009年11月開催

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