Oral Session27
集学的治療
座長:横見瀬裕保1, 川村 雅文2, ディスカッサント:伊達 洋至3(香川大学呼吸器外科1, 帝京大学医学部附属病院呼吸器外科2, 京都大学医学部附属病院呼吸器外科3
O-120.肺癌に対する術前化学放射線療法における肺線量と肺有害事象の関連についての後方視的検討
高橋 重雄1・呉  哲彦2・横見瀬裕保2・柴田  徹1
香川大学医学部附属病院放射線治療科1;香川大学医学部附属病院呼吸器・乳腺内分泌外科2

[目的]肺癌に対する術前化学放射線療法(NACRT)における肺線量と肺有害事象の関連について後ろ向きに検討する.
[対象と方法]2008年8月〜2013年9月に50 Gy/25回の線量を用いてNACRTを施行された40例を対象とした.臨床病期はIIA/IIB/IIIA/IIIB/IVがそれぞれ2/3/30/4/1例であった.放射線治療(RT)はCT治療計画を行い,プラチナ製剤を含む2剤の化学療法を2サイクル同時併用した.RT終了4〜6週後に手術を施行,術式は肺摘除術/二葉切除術/葉切除術がそれぞれ8/5/27例であった.肺線量として平均肺線量(MLD)を用い,両肺体積から肉眼的腫瘍体積を引いたMLDをMLDg,切除された肺の体積を引いたMLDをMLDrとして後ろ向きに算出した.肺有害事象として気管支瘻/肺瘻,有症状の放射線肺臓炎を評価した.MLDg,MLDr,他の臨床因子と肺有害事象の関連をFisher正確検定で単変量解析し,多重ロジスティック解析で多変量解析を行った.連続変数はROC曲線を用いてカットオフ値を算出した.
[結果]RT後の観察期間中央値は23.5ヶ月(4〜62ヶ月)であった.気管支瘻/肺瘻は6例(15%)にみられ,発症時期は術後1〜30週(中央値11.5週)であった.多変量解析でMLDg≧14.1 Gyが気管支瘻/肺瘻発症の有意な因子であった(p=0.019).有症状の放射線肺臓炎は13例(32.5%)にみられ,8例が術前に,5例が術後に発症した.多変量解析でNACRT前のLDH≧224 IU/Lが有症状の放射線肺臓炎発症の有意な因子であった(p=0.026).
[結論]肺癌に対するNACRTにおいて,高いMLDg(日常臨床で一般的に用いられているMLD)は気管支瘻/肺瘻のリスクとなるかもしれない.
第55回日本肺癌学会総会 2014年11月開催

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