一般演題(ポスター)38
腫瘍マーカー
座長:山田 一彦(久留米大学医学部呼吸器・神経・膠原病内科(第一内科))
P-1-276.悪性胸膜中皮腫における可用性メソセリン関連ペプチド(SMRP)と病勢の相関に関する検討
近石 泰弘・小林 健一・小山倫太郎・由良冴希子・松宮 弘喜・平良 彰浩・名部 裕介・竹中  賢・岡  壮一・平井 文子・田嶋 裕子・米田 和恵・黒田 耕志・今西 直子・田中 文啓
産業医科大学第2外科

【はじめに】可用性メソセリン関連ペプチド(soluble mesothelin-related peptide:SMRP)は2014年9月に悪性胸膜中皮腫(MPM)の新しい血液診断マーカーとして保険収載され,臨床導入された.当科においてもMPMに対してSMRPの測定を行うようにしているが,SMRPの測定が病勢の評価に効果的であったかを後方視的に検証した.【対象】2014年9月から2016年4月まで当科においてSMRPの測定を行った16例【結果】全例胸膜生検で病理診断を得ており,MPMが11例(上皮型6例,二相型2例,肉腫型1例,desmoplastic 2例)で5例は悪性所見を認めなかった.MPMの11例の内,測定中にカットオフ値を超えたのは4例であり,その内3例はSMRPの変化に合わせて病勢が増悪していた.残りの1例は1回のみの測定であり測定後1か月で原病死していた.カットオフ値を超えなかった7例の内2例は術後で再発を認めていない症例であり,2例は全身化学療法で病勢コントロールの得られている症例であった.3例は病勢の増悪を認めており,上皮型が2例,二相型が1例であった.術後再発のない症例を除いたSMRPの感度は44%(4/9)であった.病理学的に悪性所見を認めなかった5例に関して,4例はカットオフ値以下であったが,1例はカットオフ値を超えており,特異度は20%(1/5)であった.【まとめ】SMRPは上昇傾向にある症例においてはいずれもその後に病勢の増悪を認めており,MPMの血液診断マーカーとして有用なマーカーであると思われる.今後もさらなる症例の蓄積が必要である.
第57回日本肺癌学会学術集会 2016年12月開催

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