一般演題(ポスター)84
ALK阻害剤 2
座長:高橋 利明(静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科)
P-2-138.当院での術後再発のALK融合遺伝子陽性患者6例に対するALK阻害剤の使用経験
小林 健一・近石 泰弘・由良冴希子・小山倫太郎・松宮 弘喜・平良 彰浩・名部 裕介・桑田 泰治・竹中  賢・平井 文子・田嶋 裕子・米田 和恵・今西 直子・黒田 耕志・田中 文啓
産業医科大学第二外科

〈背景〉ALK融合遺伝子陽性肺癌は非小細胞肺癌の3~6%を占め,それに対するALK阻害剤の抗腫瘍効果は標準的な化学療法と比較して,劇的かつ迅速であると報告されている.〈対象と方法〉当科における2011年4月1日から2016年4月1日までの肺癌手術症例中(988例),術後再発したALK融合遺伝子陽性肺癌患者6例について後ろ向きに検討した.〈結果〉年齢中央値は66歳(44~81歳),男性3例,女性3例.組織型は全例腺癌で,術後の病理病期はIIB/IIIA/IIIB/IV,1/3/1/1であった.観察期間の中央値は13カ月(2~28カ月)であり,6例中1例が原病死で,5例が生存中である.一次治療はアレクチニブが4例,クリゾチニブが2例であった.治療効果に関しては,アレクチニブ投与例は,PR/CR,3/1であり,クリゾチニブ投与例はPRが2例であった.アレクチニブ投与群の4例中3例は内服継続され,無増悪生存中である.1例はPRであったが,薬剤性肺炎発症し,ステロイドを併用しながら内服継続した後,セレチニブに変更となった.クリゾチニブ投与群は1例がアレクチニブに変更(脳転移出現のため),1例は治療拒否され,中止後2カ月で原病死となった.二次治療としてアレクチニブを投与した1例に関して,脳転移の縮小を認めPR継続中である.〈まとめ〉術後再発したALK陽性肺癌は全例にALK阻害剤が使用され,病勢コントロール可能であった.さらに一次治療にアレクチニブを投与した群は無増悪で経過した.また,アレクチニブは脳転移に対しても効果を認めた.今後さらなる症例を蓄積し,有効性や有害事象について検討する必要がある.
第57回日本肺癌学会学術集会 2016年12月開催

特定非営利活動法人日本肺癌学会 The Japan Lung Cancer Society
© 日本肺癌学会 All rights reserved.