一般演題(口演)13
縦隔腫瘍
座長:羽生田正行(愛知医科大学病院)
O13-3.当科にて治療を行った胸腺癌症例の検討
*名部 裕介・竹中  賢・福市 有希子・本多 陽平・西澤 夏將・有村 ゆう子・金山 雅俊・平良 彰浩・篠原 伸二・桑田 泰治・近石 泰弘・岡  壮一・平井 文子・田嶋 裕子・米田 和恵・黒田 耕志・今西 直子・市来 嘉伸・田中 文啓
産業医科大学病院第2外科

[背景]胸腺癌は比較的予後が不良な疾患であり,標準治療は確立されていない.[対象と方法]2006年1月から2016年3月までに当科で治療を行った胸腺癌10例を対象に完全切除群,不完全切除群,非手術群の3群に分類し臨床学的特徴について後方視的に検討した.臨床病期は正岡分類を用いて分類した.[結果]胸腺癌10症例のうち男性は9例,女性は1例であった.平均年齢は54.6歳(40-65歳)で,発見動悸では有症状例が10例中6例であった.完全切除群は4例,不完全切除群は2例,非手術群は4例であった.手術で合併切除を行った症例は6例中5例であり,合併切除部位は肺が4例,心膜が3例,腕頭静脈が1例,横隔神経が1例,迷走神経が1例,胸部大動脈が1例であった(重複あり).術後病期は完全切除群/不完全切除群ではII期が2/0例,III期が1/1例,IV期1/1例であった.術後治療は完全切除例では化学放射線療法が1例,放射線治療が1例に施行された.不完全切除例では放射線治療が2例に施行された.非手術群では化学放射線療法が2例,化学療法が1例,放射線療法が1例に施行された.組織型では完全切除群は扁平上皮癌が3例,肉腫様癌が1例であった.不完全切除群では扁平上皮癌が2例であった.非手術群では扁平上皮癌が3例,basaloid carcinomaが1例であった.完全切除群で4例中1例に再発を認め,他病死を1例に認めた.不完全切除群では2例中1例,非手術群では4例中1例でそれぞれ原病死を認め,他は担癌生存中である.[考察]胸腺癌は手術を含めた集学的治療により,良好な予後が得られる可能性があると考えられた.
第58回日本肺癌学会学術集会 2017年10月開催

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