105.大動脈弓部合併切除再建を行った胸腺肉腫様癌の1切除例
産業医科大学医学部第2外科
岡 壮一, 黒田 耕志, 田中 文啓

【はじめに】胸腺癌肉腫様癌は稀である.我々は左鎖骨下動脈根部周囲を取り囲むように発生した胸腺肉腫様癌で大動脈弓部置換を行い完全切除した症例を経験した.【症例】48歳男性.胸部異常陰影を指摘され近医受診.胸部CTで左鎖骨下動脈根部周囲を取り囲むφ4 cm腫瘍を指摘され当科紹介となる.PETで腫瘍部位に高集積を認めるが明らかな遠隔転移はなし.腫瘍の位置的に術前組織学的診断は不可能であり切除手術を計画した.手術は胸骨正中切開+TMAおよび左側方開胸で行った.腫瘍が左鎖骨下動脈根部周囲を取り囲み大動脈弓部にも接していた,従って大動脈弓部切除置換および左肺上葉切除,左腕頭静脈切除再建を行い完全切除した.術後経過良好で術後2年半経過するが無再発生存中である.【結語】大血管合併切除再建を行い完全切除した胸腺肉腫様癌の1例を経験した.

特定非営利活動法人日本肺癌学会 The Japan Lung Cancer Society
© 日本肺癌学会 All rights reserved.