71.肺原発淡明細胞癌の1切除例
産業医科大学第2外科
金山 雅俊, 小林 健一, 由良 冴希子, 松宮 弘喜, 平良 彰浩, 名部 裕介, 篠原 伸二, 桑田 泰治, 竹中 賢, 米田 和恵, 田嶋 裕子, 今西 直子, 黒田 耕志, 田中 文啓

症例は80歳男性.検診で指摘された左上葉S1+2の35 mm大の腫瘤に対して気管支鏡検査行い過誤腫を疑われたが,画像的に原発性肺癌が否定できず診断・治療目的に手術を施行した.手術は胸腔鏡下にS1+2区域切除を行い,迅速検査でCarcinomaの診断のため左上葉切除及びリンパ節郭清を施行した.病理診断は淡明な細胞質を有する癌細胞の増殖を認め,腺癌や扁平上皮癌への分化は認めず,淡明細胞癌と診断した.淡明な癌細胞を有する肺悪性腫瘍は腎癌などからの肺転移を鑑別に挙げる必要があるが,本症例では肺へ転移するような他病変は認めず,肺原発淡細胞癌と診断した.肺原発淡明細胞癌は原発性肺癌の0.3~3.4%と比較的稀な疾患であり報告する.

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