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抗PD-1抗体薬ニボルマブ(オプジーボ®)についてのお願い(追加)

【投稿日時: 2016-01-12】

日本肺癌学会会員の皆様
肺癌薬物療法に関わる皆様

抗PD-1抗体薬ニボルマブ(オプジーボ®)についてのお願い(追加)

  
  標記につきましては平成27年12月11日に既にお知らせしたところ(http://www.haigan.gr.jp/uploads/photos/1078.pdf)  でありますが、平成27年12月17日に承認されたことを受け、日本における同薬治験中の副作用情報を入手することができましたので、追加のお知らせとお願いを致します。
   国内ではセカンドラインとして、扁平上皮癌(Sq)を対象とした05試験(n=35, 年齢中央値=65.0)と非扁平上皮癌(non-Sq)を対象とした06試験(n=76, 年齢中央値=64.0)の2つの第II相試験が行われました。Sq症例では35例中2例、non-Sq症例では76例中6例に間質性肺合併症(間質性肺炎+肺障害)の有害事象を認め、両組織型をあわせると7.2%(8/111)の高率な発症率でした。CTCAE 4.0版による重症度では、grade 4(1例)、grade 3(3例)、grade 2(3例)、grade 1(1例)であり、grade 4の1例はその後死亡しております。8例中7例にステロイドパルス療法、4例に酸素投与が行われ、死亡1例、軽快6例、回復1例の転帰でした。発症時期はニボルマブ投与2週後が1例、3週後が2例、5週後が2例、24週後が2例、31週後が1例であり、投与後早期から長期間にわたっていることが分かります。危険因子は明確ではありませんが、既存肺疾患についての画像委員による判定では、既存の間質性肺炎を認めるもの1例、完治していない放射線肺臓炎を認めるもの1例、完治していない肺炎を認めるもの1例、気腫性変化を認めるもの3例でした。死亡例では気腫性変化のみを認めました。
   上記国内治験に先立ち進行メラノーマに対する安全性情報、非小細胞肺癌に対する米国での安全性情報が既に報告されています。一方、これまでの殺細胞性抗癌薬、EGFR-TKIなどの経験から、外国人に比べ日本人において薬剤性肺傷害のリスクが高いことが繰り返し報告されてきたことより、ニボルマブにおいても同様の懸念がありました。また同じ日本人でもメラノーマ患者に比べ肺癌患者では既存の肺疾患によるリスクが増加することも懸念されておりました。症例数が少なく確定的な判断はできないものの、今回新たに入手した情報はこれらの懸念をある程度裏打ちするものとも言えます。
   間質性肺炎以外にも全身多臓器にわたる免疫学的有害事象への対策が重要なことは前回のお願い(平成27年12月11日)の通りであり、ニボルマブの使用にあたっては、ニボルマブの副作用とその対策を十分理解している医師が治療にあたること、アレルギーあるいは膠原病内科、消化器内科、代謝・内分泌内科、神経内科などの専門医との協働が可能な施設、または地域連携によりこれらの専門的支援が直ちに得られるような施設において行うことなどを十分ご留意のうえ治療されるようお願い致します。患者に対する情報提供と同意が重要なことは言うまでもありません。
    繰り返しになりますが、薬は常に諸刃の剣であることをあらためて肝に銘じ、肺癌治療においての大きなブレークスルーとして期待されているニボルマブが安全に適切に使用され、多くの患者の福音となるよう、皆様のご理解とご協力をお願い致したく存じます。

2016年1月12日

特定非営利活動法人日本肺癌学会
理事長 光冨徹哉
渉外委員会委員長 滝口裕一


 


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