ニュース&トピックス

アーカイブ |

ニボルマブ・ペムブロリズマブの最適使用推進ガイドラインについて

【投稿日時: 2017-02-15】


日本肺癌学会 会員の皆様へ

ニボルマブ・ペムブロリズマブの最適使用推進ガイドラインについて

平成29年2月14日付けで厚生労働省より、ニボルマブ(オプジーボ)およびペムブロリズマブ(キイトルーダ)のそれぞれについて「最適使用推進ガイドライン」が公表され、併せて「最適使用推進GLが策定された医薬品の保険適用上の留意事項について」が発出、適応されました。


■薬生薬審発0214第1号 
ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤及びペムブロリズマブ(遺伝子組換え)製剤の最適使用推進ガイドライン(非小細胞肺癌及び悪性黒色腫)について
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170215I0110.pdf

■保医発0214第4号
抗Pd-1抗体抗悪性腫瘍剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T170215S0090.pdf


本ガイドライン(以下GL)には日本肺癌学会編の肺癌診療GL2016年版との相違点が見られます。さらに上記「留意事項について」が遵守されていない場合は保険査定の可能性もありますので、ここに要点をまとめ、皆様の注意を喚起したいと思います。
一番ご注意頂きたい点は非扁平上皮癌セカンドライン治療において、肺癌診療GLではニボルマブはグレードAでPD-L1の発現に関わらず推奨されていますが、最適使用GLでは“PD-L1発現率が1%未満であることが確認された非扁平上皮癌患者においては、原則、ドセタキセル等の本剤(ニボルマブ)以外の抗悪性腫瘍剤の投与を優先する”、となっている点です。なおペムブロリズマブのセカンドライン治療では組織型の如何を問わずPD-L1≥%の発現が承認条件となっており、この点に関する齟齬はありません。

解説
1.    非扁平上皮癌, EGFR遺伝子変異・ALK遺伝子転座・ROS1遺伝子転座陰性もしくは不明 1次治療としてペムブロリズマブ未使用の2次治療以降: PS 0-1(肺癌診療GL2016年版(161ページ) 6-16)に対して、PD-1阻害剤投与注)がグレードAで推奨されており(注:ニボルマブ(PD-L1の発現にかかわらず)、またはペムブロリズマブ(PD−L1≥1%))、ドセタキセルを初めとするその他の抗がん剤の推奨度はグレードBとなっております。これに対し、「最適使用推進GL ニボルマブ~非小細胞肺癌~」では、「非扁平上皮癌の患者においてはPD-L1発現率も確認した上で本剤注」の投与可否の判断をすることが望ましい。」「PD-L1発現率が1%未満であることが確認された非扁平上皮癌患者においては、原則、ドセタキセル等の本剤注」以外の抗悪性腫瘍剤の投与を優先する。」(注:ニボルマブを指します)と記載されております。即ち、非扁平上皮癌の2次治療にいてニボルマブの投与を考慮する場合には、それに先んじてPD-L1検査を実施することが望ましいが、PD-L1発現率が確認できない場合には、ニボルマブの使用の適否を適切に判断した上で投与すること、PD-L1発現率が1%未満の場合は、ニボルマブ以外の抗がん剤の投与を原則優先することを推奨しております。ただし、“注として“他の悪性腫瘍剤の投与について禁忌慎重投与に該当することの他、臨床上問題となる副作用の発現のおそれがある等、医学薬学上不適応と判断された患者についてはその限りではない“との記載もみられます。
2.    PS2の患者さんの場合、非扁平上皮癌, EGFR遺伝子変異・ALK遺伝子転座・ROS1遺伝子転座陰性もしくは不明、1次治療としてペムブロリズマブ未使用の2次治療以降(肺癌診療GL2016年版(164ページ) 6-17)、および扁平上皮癌, 1次治療としてペムブロリズマブ未使用の2次治療以降(肺癌診療ガイドライン2016年版(169ページ) 6-21)において、ニボルマブの使用は推奨にはあげておりません。これに対し、最適使用推進GLでは、ニボルマブおよびペムブロリズマブ投与を推奨しない患者条件の内、PSについては3-4に限定しておりますので、PS-2は使用できることになります。

3.    「最適使用推進GLが策定された医薬品の保険適用上の留意事項について」では以下について診療報酬明細書に記載が求められています。
医療施設の要件のいずれに該当するか。下記の(1)~(5)のいずれかに該当する施設であること。
①    厚生労働大臣が指定するがん診療連携拠点病院等(都道府県がん診療連携拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域がん診療病院など)(平成28 年10 月1 日時点:427 施設)
②    特定機能病院(平成28 年9 月1 日時点:84 施設)
③    都道府県知事が指定するがん診療連携病院(がん診療連携指定病院、がん診療連携協力病院、がん診療連携推進病院など)
④    外来化学療法室を設置し、外来化学療法加算1 又は外来化学療法加算2 の施設基準に係る届出を行っている施設(平成27 年7 月1 日時点:2538 施設)
⑤    抗悪性腫瘍剤処方管理加算の施設基準に係る届出を行っている施設(平成27 年7 月1 日時点:1284 施設)
治療の責任者の要件のいずれに該当するか。肺癌の化学療法及び副作用発現時の対応に十分な知識と経験を持つ医師(下表のいずれかに該当する医師)が、当該診療科の本剤に関する治療の責任者として配置されていること。
①    医師免許取得後2 年の初期研修を終了した後に5 年以上のがん治療の臨床研修を行っていること。うち、2 年以上は、がん薬物療法を主とした臨床腫瘍学の研修を行なっていること。
②    医師免許取得後2 年の初期研修を終了した後に4 年以上の臨床経験を有していること。うち、3 年以上は、肺癌のがん薬物療法を含む呼吸器病学の臨床研修を行っていること。
オプジーボを非扁平上皮癌患者であって、PD-L1 発現率が確認できた患者に投与する場合は、PD-L1 発現率を確認した検査の実施年月日及び検査結果。PD-L1 発現率が1%未満の場合は、本製剤を投与することとした理由。キイトルーダについては、PD-L1 陽性であることが薬剤の投与の要件となっているため、コンパニオン診断薬によりPD-L1 陽性であることを確認した年月日及び検査結果。

以上のように、肺癌診療GL2016年版と最適使用推進GLに関して相違点がありますので、該当の薬剤の使用の際にはぜひ原文にもあたった上での適正な使用を心がけて頂きたく存じます。


平成29年2月15日

日本肺癌学会ガイドライン委員会委員長 山本信之
日本肺癌学会理事長 光冨徹哉


このページの先頭へ