第6章 非小細胞肺がんの治療 6-2 放射線療法が中心となる治療
Q64
抗がん剤治療(化学療法)と放射線療法の併用療法の副作用にはどのようなものがありますか

 抗がん剤(細胞傷害性抗がん薬)による治療(化学療法)と放射線療法を併用して治療するため,化学療法に伴う副作用と放射線療法に伴う副作用の両方が起こり得ます。それぞれの副作用はQ41(薬物療法),Q38(放射線療法)をご覧ください。化学療法と放射線療法を同時に行うことで,効果と同様に副作用も相乗的に強くなることがあり注意を要します。

 なかでも,抗がん剤の副作用である,白血球数の減少とそれに伴う感染症の危険性が高まります。また,放射線療法の副作用である食道炎(食べると食道がピリピリしたり,ひどい場合は痛みにより一時的に食べられなくなります)が起こります。これに対しては粘膜ねんまく保護剤ほございを服用しますが,あまりひどい場合は放射線療法をいったん中止します。

 放射線療法による肺炎(放射ほうしゃせん肺臓炎はいぞうえんと呼びます)はほとんどの方に起こりますが,多くは放射線のあたった部位だけの限局性のもので,時間の経過とともに症状(微熱,息苦しさ,空咳からせきなど)が軽快していきます(X線写真上の影は残ります)。放射線をあてた以上の広い範囲に肺臓炎が発症してしまった場合,ステロイドの投与を行いますが,死亡リスクが1〜3%はあるとされています。

 放射線肺臓炎の発現時期は,治療終了後数力月にまで及ぶこともあるので,定期的な通院と,何か異常を感じたらすぐに医療機関に連絡して,病院を受診することが大切です。

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