第7章 小細胞肺がんの治療
Q76
小細胞肺がんでは分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬は使われないのでしょうか

 小細胞肺がんに対する治療法は,約20 年にわたって抗がん剤(細胞傷害性抗がん薬)が中心でした。しかし,これまで非小細胞肺がんで主に用いられてきた「免疫チェックポイント阻害薬」が小細胞肺がんにも用いられるようになりました。

 治療を受けたことのない,進展型小細胞肺がん患者さんを対象として,抗がん剤(CE 療法,Q75参照)に加えて,「アテゾリズマブ」という免疫チェックポイント阻害薬を投与された患者さんは,抗がん剤だけを投与された患者さんより生存期間を延長することが示されました。この結果を受けて,免疫チェックポイント阻害薬を抗がん剤と併用する治療法が標準治療のひとつとなりました。同様に,治療を受けたことのない,進展型小細胞肺がん患者さんを対象として,PE 療法またはCE 療法(Q75参照)と「デュルバルマブ」という免疫チェックポイント阻害薬を併用された患者さんも生存期間の延長が認められたことから,標準治療となりました。

 これら2つの治療法は,通院頻度や組み合わせる抗がん剤の種類が異なるなどの違いがあり,あなたに適した方法を担当医と一緒に決めるのが良いでしょう。

 一方で,免疫チェックポイント阻害薬を使うことが勧められない患者さんや,からだの状態によっては,これまで用いられてきた抗がん剤による治療を勧められる場合もあります。また,すでに治療を受けたことのある患者さんでは免疫チェックポイント阻害薬を使うことは勧められませんので,担当医とよく相談することが必要です。

 現時点で承認されている分子標的治療薬はありません。

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