第2章 肺がんの診断に必要な検査
Q9
血液検査だけでがんかどうかはわからないのでしょうか〜腫瘍マーカーなど〜

 現時点では,血液検査だけで肺がんと診断することはできないため肺がんの診断を目的とした腫瘍マーカーの測定は勧められません。

 血液検査でがんかどうかを調べるときに腫瘍マーカーが測定されることがありますが,腫瘍マーカーの特徴として,実際にがんがなくても異常値を示す(ようせい),あるいは,がんがあっても数値が正常(偽陰性ぎいんせい)というようなことが多々あります。肺がんの代表的な腫瘍マーカーにはCYFRAシフラCEAシーイーエーProプロGRPジーアールピーNSEエヌエスイーなどがありますが,組織型や病期によって検出率が異なることが知られています。

 腫瘍マーカーが活用されるのは肺がんと診断された後です。具体的には治療効果の目安,経過観察中の再発を疑うときの参考値となるなど補助的役割を果たします。

 将来的には血液中にがん細胞由来の遺伝子が流れ出ているかどうかを調べるなどの検査が可能になるかもしれませんが,少なくとも,いま肺がんにかかっているか,あるいは将来的に肺がんになりやすいかどうかということを血液検査では確定できません。肺がんの診断では画像診断や組織診断が必須になります。

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