第6章 非小細胞肺がんの治療 6-1.外科治療(手術)が中心となる治療
Q61
手術後にはどのようなことに気をつければよいですか

 手術後は,通常の生活をしても構いません。からだの調子をみながら散歩などの軽い運動から徐々に始めましょう。多くの方では趣味の範囲の運動は可能です。ただし,急な運動や作業,または坂道や階段などでは息切れが強く出ることがあります。休みながら,ゆっくりとしたペースで行うとよいでしょう。参考として,1分間の脈拍が(220-年齢)×0.8を超えないように負荷をかけるのが安全とされています(例:60歳で128,70歳で120)。肺気腫はいきしゅ間質性肺炎かんしつせいはいえんという肺全体に及ぶ病気をもっている方は,手術の後で肺炎などを起こす危険性が高いので,風邪をひかないように,外出から帰ったらうがいをするなどの注意が必要です。手術前に禁煙した方は術後に再開したいと思われるかもしれませんが,厳禁です。

 肺の手術では,肋骨の下を走る肋間神経ろっかんしんけいが傷ついていることがあり,雨降りのときや冷えたりすると痛みが出ることがしばしばあります。また,手術した側の胸に鉄板を入れられたような感じをもつ患者さんもいます。痛みの程度や期間には個人差がありますが,多くの方が経験する痛みで,しだいにやわらいでいきます。日常生活に支障が出るほどの痛みであれば,痛み止めをしばらく飲むことをお勧めします。また,手術後はせきが出やすいことも特徴です。会話や深呼吸などの刺激でたんを伴わない空咳からせきが出ることはしばしばで,多くは1〜2カ月のうちに軽快します。一方,発熱や痰を伴う咳には注意が必要です。すぐ担当医に報告しましょう。

 手術をしても再発する可能性はゼロではありません。担当医の指示どおりに定期的な通院と検査は必要ですので,必ず受診するようにしましょう。また,肺がんに限らず,ほかの病気になることもありますので,ご心配であればご自身で検診を受けるのもよいでしょう。

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