一般演題(ポスター)21
神経内分泌腫瘍
座長:飯笹 俊彦(千葉県がんセンター呼吸器外科)
P-169.肺・胸腺カルチノイドに対する化学療法の検討―LCNECとの比較―
太良 哲彦・葉  清隆・西島 伸彦・大江裕一郎・大松 広伸・後藤 功一・仁保 誠治・剣持 広知・内藤 陽一・徳永 祐一・山根 由紀・山口 葉子・伊藤まさみ・西脇  裕
国立がんセンター東病院 呼吸器内科

【背景】カルチノイドは低悪性度の神経内分泌腫瘍に分類されるが,転移や再発をきたす症例も稀に存在する.当院における肺および胸腺カルチノイドに対する化学療法の現状について検討することを目的とした.【方法】当院で1992年7月から2008年12月までに肺または胸腺カルチノイドと診断された42例中,切除不能や再発に対して化学療法が施行された9例を対象とした.臨床病理学的背景,化学療法の効果,予後をレトロスペクティブに解析し,さらに当院で進行・再発の肺大細胞神経内分泌癌(LCNEC)の診断にて化学療法が施行された16例と比較検討した.【結果】カルチノイド9例の内訳は,肺カルチノイド6例(定型TC/非定型AC:4/2),胸腺カルチノイド3例で,年齢中央値:58歳(35-62),男/女:5/4,PS 0/1/2:5/3/1,根治切除不能/術後再発:8/1例であった.カルチノイド9例に対する化学療法のレジメンは,CDDP+ETP:6,CDDP+CPT:2,CPT:1で,LCNEC16例では,CDDP+ETP:1,CDDP+CPT:3,CPT:1,CDDP+VNR:5,他6であった.化学療法の効果は,カルチノイド9例でPR/SD/PD:1/7/1に対して,LCNEC16例ではPR/SD/PD:9/3/4となっており,カルチノイドはLCNECより化学療法に奏効した症例が有意に少なかった(P=0.04).カルチノイドでPRを認めた1例は肺カルチノイドACであった.【結論】神経内分泌腫瘍において,低悪性度のカルチノイドは高悪性度のLCNECと比較して化学療法に奏効しにくいことが示唆された.
第50回日本肺癌学会総会 2009年11月開催

特定非営利活動法人日本肺癌学会 The Japan Lung Cancer Society
© 日本肺癌学会 All rights reserved.