一般演題(ポスター)61
縦隔腫瘍5
座長:川本 雅司(日本医科大学付属病院病理部)
P-472.精巣腫瘍が併存した縦隔混合型胚細胞腫瘍の1例
吉岡  孝1・室  雅彦1・三谷 玲雄2
福山市民病院 外科1;福山市民病院 内科2

 症例は14歳,男性.広汎性発達障害あり.発熱,咳嗽を主訴に近医を受診,胸部レントゲンにて前縦隔腫瘤影を指摘され,当院に紹介された.CTにて前縦隔から右胸腔に突出する長径11cm,左胸腔に突出する長径4.5cmの2個の腫瘤を認めた.これらはいずれも境界明瞭で周囲への浸潤所見はなく,内部に脂肪,液体,石灰化,軟部組織など多彩な所見を認めた.血中腫瘍マーカーはAFP(3610ng/ml),CEA(6.5ng/ml)の高値を認めた.奇形腫と悪性胚細胞腫瘍からなる混合型胚細胞腫瘍と診断した.気道圧排による症状がみられ,腫瘍内感染や今後の穿破の可能性があること,病変全体の組織学的診断を要することから手術の方針とした.胸骨正中切開にてアプローチしたところ,病変はいずれも被膜様構造に覆われ,周囲臓器への浸潤を認めなかった.2個の腫瘤とそれらの間に存在する胸腺組織を一塊に摘出した.病理組織所見:(1)大部分は3胚葉成分からなる成熟奇形腫,(2)右病変の一部に卵黄嚢腫瘍,(3)胸腺内に精上皮腫の成分が散在.これらより混合型胚細胞腫瘍と診断された.術後,泌尿器科にて右精巣に1cm大の腫瘤を指摘され,精上皮腫が疑われた.高位精巣摘除術が行われたが,病理組織診断は皮膚組織のみからなる類表皮嚢腫であった.縦隔における精上皮腫の遺残を考慮し,化学療法(シスプラチン,エトポシド)を2コース行った.
第50回日本肺癌学会総会 2009年11月開催

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