一般演題(ポスター)69
画像診断3
座長:松本 常男(山口宇部医療センター 臨床研究部)
P-540.術前に4期と診断された,肺性肥大性骨関節症を伴う原発性肺癌の一例
湯木  毅・阪本 俊彦
神戸赤十字病院

 症例は64歳,男性.1ヶ月近く続いていた,発熱と全身倦怠感,右肩関節痛のため,当院内科を受診した.左肺の気胸手術および膀胱癌手術の既往あり.胸部CTでは左上葉・肺門部に66×57mm大の腫瘍を認め,著明な圧排性発育を示していた.腫瘍辺縁部で不整な造影増強効果を有し,内部は壊死を疑う所見であった.縦隔リンパ節(#4〜5)の腫大を認めた.なお肺尖部には巨大ブラあり,炎症の波及をうかがわせる液貯溜を認めた.骨シンチにおいて,右肩関節の骨頭内側や烏口突起付近に集積亢進を認めており,これは6ヶ月前の同検査(膀胱癌フォローアップ)では全くなかった.胸部CTでも上腕骨骨頭の骨皮質は明らかに菲薄化していた.さらに右肩関節の運動時痛強く,ALP上昇(587 IU/l)あることから骨転移と考えた.したがって臨床病期はcT2N2M1,stage4と診断されたが,腫瘍の壊死傾向による炎症反応強く,発熱および貧血(Hb 7.2mg/dl)のコントロールに難渋しており,化学療法の実施も困難であったため,palliation目的として左上葉切除術を行うこととなった.術後まもなく発熱,貧血傾向は著明に改善した.永久標本では低分化腺癌の所見であり,脈管侵襲はあるものの腫大リンパ節には転移を認めなかった.また退院時には右肩関節痛が明らかに軽減しており,再検した骨シンチでは明らかに集積低下を認めていることから,肺性肥大性骨関節症であったと判断した.ばち指等を主徴とする肺性肥大性骨関節症は,その80%が原発性あるいは転移性の肺腫瘍に合併し,10%は胸膜腫瘍,残り10%は非腫瘍性疾患によるものとされる.骨シンチでは長管骨遠位端に対称的な集積亢進を示すことが多いが,本症例は片側性でありかつ転移を思わせる強い痛みを伴っていたことから,画像診断を含めて示唆に富むケースと考えられた.
第51回日本肺癌学会総会 2010年11月開催

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