一般演題(ポスター)34
鏡視下手術
座長:岩崎 昭憲(福岡大学)
P-193.癌性胸膜炎に対する胸腔ドレナージを契機として発症した気胸の2手術例
新関 浩人・佐藤 彰記・長間 将樹・宮坂 大介・菊地 健司・村上 慶洋・山口 晃司・須永 道明・池田 淳一
北見赤十字病院 外科

【はじめに】大量胸水による長期間の肺虚脱を認める例では,胸腔ドレナージにより再膨張時の胸膜裂傷を呈することがある.これは多発性の胸膜損傷であることが多く,難治性気胸となり得る.今回,多発性の穿孔部を伴った気胸の2手術例を経験したので報告する.【症例】症例1は,68歳,男性.5ヶ月前から原発性肺癌,肝細胞癌,下咽頭癌を指摘されていたが,希望で無治療だった.呼吸苦が増悪したため受診し,大量の左胸水を伴う癌性胸膜炎と診断された.胸腔ドレナージを施行したところ,気胸を発症した.気瘻が多く,手術を希望し当科紹介となった.術中のリークテストで,上葉に多発性の胸膜損傷があり,再膨張時の胸膜裂傷を疑った.穿孔部が広範囲にわたっていたため,気瘻の多い部位にタココンブを貼付し,その他の部位はネオベールシート+自己血で補強した.術後は気瘻が治まったが,3病日に38.5℃の発熱があり膿胸を発症.洗浄を続け,25病日にドレーンを抜去し,30病日に抗癌剤治療を目的とし内科へ転科となった.症例2は,52歳,女性.1ヶ月前から労作時息切れがあり,精査で左肺癌,両肺転移,左癌性胸膜炎を指摘された.左胸水をドレナージ後に気胸を発症.多量の気瘻がみられたため,当科紹介となり手術.リークテストで上下葉間に2ヶ所のリークがみられ,ネオベール+ボルヒールで補強した.術後3病日にドレーン抜去し,7病日に内科へ転科となった.【結語】癌性胸膜炎に伴った気胸であっても,保存療法が有効でなければ積極的に手術を行い,次の抗癌剤治療に備える意義はあると考えられる.
第52回日本肺癌学会総会 2011年11月開催

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