一般演題(口演)102
病理4
座長:門倉 光隆(昭和大学病院 呼吸器外科)
O-506.CT下肺生検にて確定診断に至った肺原発ホジキンリンパ腫の1例
戸矢崎利也・山本 恭通・小阪 真二
島根県立中央病院 呼吸器外科

【はじめに】ホジキンリンパ腫は節外病変を呈することは稀であるが,中でも肺原発のものは本邦においてわずかな報告しかない.今回われわれは肺原発ホジキンリンパ腫の1例を経験したので報告する.【症例】症例は78歳男性.2011年12月より感冒症状あり,近医で抗生剤処方するも改善ないため2012年1月当院総合診療科紹介受診.胸部CTで左肺上葉の長径68mmの腫瘤影,舌区枝狭窄,左肺門部リンパ節腫大を認め肺癌疑いとして当科紹介,TBLB施行.病理標本では異型に乏しいリンパ球浸潤を伴う肺胞組織のみで,悪性所見は認めなかった.感染症,炎症性疾患を疑い,外来にて抗生剤,ステロイド内服継続するも陰影改善ないため,2012年2月CT下肺生検施行.病理標本では大型で一部2核のものを含むlacnunar cellと考えられる大型リンパ球と小型リンパ球が混在しており,大型リンパ球はCD30,CD15陽性でホジキンリンパ腫の結節硬化型と診断された.現在当院血液内科にてABVD療法継続中である.【考察】ホジキンリンパ腫は本邦の悪性リンパ腫の5〜10%を占める比較的稀な疾患である.特に肺原発の症例は報告数が少ない.初発症状として咳嗽,胸痛,呼吸困難,喀血といった呼吸器症状から倦怠感,発熱,皮疹などを呈するため,肺炎として加療開始されるも陰影の改善が乏しく精査される例が多い.ホジキンリンパ腫は腫瘍内部に異型のないリンパ球を含むため,本症例のようにTBLBで十分な病変組織を得られず確定診断がつかない場合もあり,病理診断にて非特異的炎症反応と診断された場合でも,ホジキンリンパ腫を鑑別疾患に含め追加精査を検討する必要がある.
第53回日本肺癌学会総会 2012年11月開催

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