一般演題(ポスター)20
転移性肺腫瘍3
座長:矢野篤次郎(国立病院機構別府医療センター臨床研究部 外科)
P-114.乳癌術後に出現した単発性の肺腫瘍の検討―転移性か原発性か―
広瀬 敏幸1・住友 正幸1・松岡  永1・葉久 貴司2・米田 和夫2・稲山 真美2・田岡真理子2
徳島県立中央病院 外科1;徳島県立中央病院 呼吸器科2

【はじめに】乳癌術後に出現した肺腫瘍については,単発性の場合は原発性肺癌であるか,乳癌の肺転移であるか診断に難渋することがある.今回,乳癌術後に出現した単発性肺腫瘍で外科的治療を行った症例について検討した.【症例】乳癌術後に単発性肺腫瘍を認めたものは17例あり,最終の診断は原発性肺癌が12例,乳癌肺転移が5例であった.16例が女性,1例が男性であった.年齢は,原発性が49歳から78歳で平均63.4歳,肺転移が58歳から77歳で平均66歳であった.乳癌術後から肺切除術が行われるまでの期間は原発性で18から180ヶ月で平均74.3ヶ月,肺転移で19から120ヶ月で平均75.6ヶ月であった.腫瘍径は,原発性で12から35mmで平均21.6mm,肺転移で12から42mmで平均20.2mmであった.術前CTでは,原発性では含気型が4例,充実型が7例,肺転移では全例,充実型であった.辺縁所見に関しては,原発性でspicularが6例,境界明瞭が1例,肺転移ではspicularが3例,境界明瞭が2例であった.術前診断では,気管支鏡を行われた7例では6例が腺癌と診断されたが,原発性か転移性かの診断は得られなかった.CTガイド下針生検が行われた症例では肺転移が疑われた.術中迅速病理を行った症例は10例あり,原発性と診断がついたのが3例,転移性と診断がついたのが1例,腺癌であるが原発性か転移性かは不明が6例あった.【まとめ】乳癌術後に単発性肺腫瘍を認めた場合,CTにて含気型であれば原発性肺癌が疑われるが,充実性の場合,辺縁所見では原発性か転移性か不明であることも多い.また,乳癌術後の期間が長くても転移性である可能性もあり,確定診断および治療方針決定のためには外科的肺生検が必要であると思われる.
第53回日本肺癌学会総会 2012年11月開催

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