一般演題(ポスター)69
予後因子1
座長:張田 信吾(公立学校共済組合中国中央病院 呼吸器内科)
P-383.肺癌進行に対するBMP-7の臨床病理学的重要性
青木 雅也1・梅原  正1・鈴木 聡一1・原田 亜矢1・渡辺 有為1・永田 俊行1・大塚 綱志1・狩集 弘太1・酒瀬川浩一1・中村 好宏1・脇田 和博2・横枕 直哉2・柳  正和2・佐藤 雅美1
鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 呼吸器外科学分野1;鹿児島厚生連病院 呼吸器外科2

<はじめに>Bone Morphogenetic Protein-7(以下BMP-7)はTGF-β super familyに属するシグナル伝達分子のひとつである.近年,BMP-7の癌での発現が報告されており,さまざまな癌で細胞増殖・浸潤・転移に密接にかかわっていることが明らかとなってきた.肺癌におけるBMP-7の発現を検討した報告はほとんどなく,今回われわれは肺癌におけるBMP-7の発現を免疫組織学的に評価し,その臨床病理学的意義を検討した.<対象と方法>2004年から2006年までの間に当科で完全切除が行われた肺癌症例87例を対象とした.腫瘍におけるBMP-7の発現は抗BMP-7抗体を500倍に希釈し4℃,over nightで反応させ,ABC法にて可視化した.腫瘍切片においてBMP-7陽性細胞が40%以上発現しているものをBMP-7陽性群,40%未満のものをBMP-7陰性群と2群に分類し,臨床病理学的因子との関連性を検討した.<結果>免疫組織学的に腫瘍の細胞質にBMP-7の発現が認められた.前述の評価により,BMP-7陽性例は44例(51%),陰性例43例に分類された.両群間には腫瘍径(p=0.01),pl因子(p=0.03),T因子(p=0.01)で有意差を認め腫瘍の進展に伴ってBMP-7が高発現していた.また,BMP-7陽性群は,陰性例に比較してリンパ節転移も多い傾向にあった(p=0.058).さらに,5年生存率では両群間に有意な差は認めなかったが,無再発生存率においてはBMP-7陽性群が陰性群と比較して有意に予後不良であった(p=0.03).<まとめ>肺癌においても腫瘍生物学的悪性度を示すマーカーの一つとしてのBMP7発現の有用性が示唆された.
第53回日本肺癌学会総会 2012年11月開催

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