一般演題(ポスター)64
リンパ腫2・その他
座長:亀田 陽一(神奈川県立がんセンター 病理診断科)
P-376.孤立性肋骨腫瘍の手術により診断された多発性骨髄腫の1例
小林 宣隆・有村 隆明・小沢 恵介・西村 秀紀
長野市民病院

【はじめに】多発性骨髄腫は肋骨に好発するものの,孤立性の腫瘍を呈することは稀である.孤立性肋骨腫瘍の手術を機に診断に至った多発性骨髄腫の1例を経験したので報告する.【症例】70歳代,男性.息切れ,体重減少,胸背部痛に対して精査したところ,肋骨に腫瘤性病変を指摘され,精査加療目的で当科に紹介となった.65歳時に前立腺癌の既往歴がある.血液検査で高蛋白血症,低アルブミン,貧血を認めた.胸部単純X線検査で左上肺野に径2.5cmの境界不明瞭な淡い陰影を認め,左第5肋骨影が一部消失していた.CTで左第5肋骨に骨背側部から胸腔内へ突出する38×18mmの腫瘤を認めた.骨シンチでは腫瘤部分両端に軽度の集積を認めたが,大部分の集積は欠損していた.前立腺癌の骨転移が疑われ,診断および治療目的で第5肋骨部分切除を行なった.腫瘍は境界明瞭,弾性軟であった.前後方向には約3cm,頭尾側は周辺の肋間筋を含めマージンを確保し腫瘍の切除を行なった.摘出標本で腫瘍割面の辺縁は整で境界明瞭,白色の充実性腫瘤であった.病理組織学的所見で類円形の核と好塩基性の細胞質を有する腫瘍細胞が認められた.追加の精査で,血清IgGのモノクローナルな増加と尿中β2MGの上昇が認められ,骨髄生検で多発性骨髄腫の最終診断に至った.【結語】孤立性肋骨腫瘍として多発性骨髄腫が発見されることは稀であり,多彩な全身症状,血液検査異常がないか十分に検討する必要がある.
第54回日本肺癌学会総会 2013年11月開催

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