一般演題(ポスター)72
早期・小型肺癌
座長:寺田 泰二(京都桂病院呼吸器センター 呼吸器外科)
P-426.肺原発淡明細胞腺癌の一例
小田 桂子1・加藤 雅人1・松本耕太郎1・川地  眸1・山本 猛雄1・佐伯  潔1・森山 大樹1・村上 光彦1・許斐 裕之1・大城戸政行1・一宮  仁1・鶴田 伸子2・樋口 和行2
国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 外科1;国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 呼吸器内科2

 今回,肺原発淡明細胞腺癌を経験したので報告する.【症例】51歳女性.2010年8月の検診で右上肺野に結節影を指摘された.CTでは8mm大の結節を認め,炎症性瘢痕が疑われたため経過観察としていた.2012年11月に急速な増大を認めたため精査を行った.細胞診で悪性所見は認めなかったが経過より肺癌が否定できず,2013年1月に胸腔鏡下右上葉切除術+ND2a郭清術を施行した.【病理学的検討】淡明な細胞質を有する癌細胞の胞巣状の増殖を認め,免疫染色でCK7(+),SPA(-),TTF-1(-),p16(+),p63(-),34βE12(+),Involucrin(+),p53(-)であり,淡明細胞腺癌 と診断された.病理病期は<Stage1B pT2a N0 M0>であった.淡明淡明細胞癌とは腫瘍組織の50%以上が淡明細胞で占められるような症例であり,大細胞癌の特殊型としての淡明細胞癌,扁平上皮癌の特殊型としての扁平上皮癌淡明細胞型,腺癌の特殊型としての淡明細胞腺癌として分類されている.淡明な癌細胞を有する肺悪性腫瘍としては腎癌や乳癌,子宮癌などからの肺転移を鑑別に挙げる必要がある.本症例では術前の全身精査で肺へ転移するような他病変は認めず,肺原発淡細胞腺癌であると診断した.肺原発淡明細胞癌は原発性肺癌の0.3〜3.4%を占めるとされており,比較的稀な疾患である.【結語】今回我々は腫瘍切除により肺原発淡明細胞腺癌の確定診断を得た一例を経験したので,文献的考察も含めて考察する.
第54回日本肺癌学会総会 2013年11月開催

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