PD3
縦隔腫瘍
座長:三好新一郎1, 古川 欣也2, ディスカッサント:吉田 純司3(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器・乳腺内分泌外科1, 東京医科大学茨城医療センター呼吸器外科2, 国立がん研究センター東病院呼吸器外科3
PD-16.当科で経験した縦隔原発悪性胚細胞腫切除例10例の治療成績について
山崎 庸弘・石田 博徳・坂口 浩三・二反田博之・田口  亮・金子 公一
埼玉医科大学国際医療センター

【目的】当科で経験した縦隔原発悪性胚細胞腫切除例10例の治療成績についてretorospectiveに検討した.【対象】1998年から2014年までに経験した縦隔原発悪性胚細胞腫切除10例を対象とした.内訳は精上皮腫2例,非精上皮腫7例(未熟奇形腫1例,胎児性癌1例,卵黄嚢癌1例,混合型胚細胞腫3例,不明1例),どちらか不明が1例で,全例男性,年齢は17−48歳(平均26歳)であった.【結果】精上皮腫の2例のうち1例は切除手術(上大静脈,無名静脈合併切除)および術後化学療法(PVB療法)と術後照射を行い,2年後に腫瘍死.もう1例は切除手術のみで術後6年で無再発生存.非精上皮腫7例は全例術前化学療法(BEP療法)後切除施行.1例でVIP療法,別の1例で化学療法と同時に放射線治療追加.手術の際3例で人工心肺を使用した.術後補助化学療法を3例で施行.予後は3例が3年以内に腫瘍死,4例が無再発生存中(中間観察期間3年).精上皮腫か非精上皮腫か不明の1例は術前化学療法(BEP療法)後切除施行し術後5年で無再発生存中である.同時期に当院で切除の適応とならず化学(+放射線)療法を行った縦隔原発悪性胚細胞腫11例のうち精上皮腫3例は全例無再発生存中(中間観察期間5年),非精上皮腫8例のうち無再発生存は1例のみであり(観察期間3年),7例が腫瘍死(中間生存期間7ヶ月)した.【結語】縦隔原発悪性胚細胞腫では,術前からの強力な化学療法と積極的な腫瘍摘除による集学的治療により,特に非精上皮腫において治療成績が向上する可能性が示唆された.
第55回日本肺癌学会総会 2014年11月開催

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