Poster112
転移性肺腫瘍5
座長:()
P-688.画像所見,病理組織所見ともに原発性肺癌と膵癌肺転移との鑑別が困難であった5症例の検討
張  性洙1・中野 貴之1・岡本  卓1・米田 浩人2・中島  猛2・寺澤 優代2・浦田 知之2・志摩 泰生3・岩田  純4・稲垣 健志4
高知県・高知市病院企業団立高知医療センター呼吸器外科1;高知県・高知市病院企業団立高知医療センター呼吸器内科2;高知県・高知市病院企業団立高知医療センター消化器外科3;高知県・高知市病院企業団立高知医療センター病理診断科4

膵癌肺転移は時に肺胞上皮置換性の増殖を示し粘液産生性肺腺癌との鑑別が困難となる.【対象】2011年4月-2014年3月に当院で膵癌術後肺病変に対して外科切除した9例のうち組織学的にも鑑別に難渋した5例について検討.【結果】年齢は72-86歳,男性2例:女性3例,膵癌は全例腺癌で病期はstage2-4a,術式はPD3例,膵体尾部脾切除2例,膵切除後化学療法は3例に施行.DFIは17-71ヶ月で平均39ヶ月.肺病変個数は1-5個で最大腫瘍径が8-14mm,CT上は全例が境界不明瞭な充実性で画像診断での鑑別は困難.全例胸腔鏡下部分切除を行い4個以上存在した2例は術中確認できた病巣のみの可及的切除であった.病理診断では全例で粘液産生と肺胞上皮置換型増殖を伴う腺癌の像を示し免疫染色所見を含めた結果3例が原発性肺癌類似の所見があるが膵癌肺転移と診断,1例が原発性肺癌として矛盾しないが膵癌肺転移の否定はできない,1例は鑑別困難であった.実臨床では双方の可能性を考慮しながら,術後化学療法を3例に施行,平均観察期間は14ヶ月で全例生存しており1例が腹膜播種による再発を認めている.【結語】膵癌肺転移と粘液産生性肺腺癌は画像上,組織学的にも非常に類似した所見をもち鑑別に難渋することがある.組織診断だけでなく臨床像からも判断することが必要とされ双方の可能性を念頭におきながら診療にあたることが望まれる.
第55回日本肺癌学会総会 2014年11月開催

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