Poster115
縦隔腫瘍(胸腺腫瘍以外)2
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P-705.未熟奇形腫成分を含む縦隔腫瘍の3手術例
鈴木 浩介・北見 明彦・佐野 文俊・大橋 慎一・林  祥子・植松 秀護・神尾 義人・鈴木  隆
昭和大学横浜市北部病院呼吸器センター

縦隔未熟奇形腫は縦隔胚細胞腫瘍のうち約6%を占める稀な疾患である.成熟奇形腫とともに良性胚細胞性腫瘍に含まれるが,未熟成分を50%以上含む場合,悪性胚細胞性腫瘍と分類する文献も散見される.今回我々は未熟奇形腫成分を含む縦隔腫瘍の3手術例を経験したので若干の文献的考察を踏まえ報告する.
症例1;32歳男性.胸痛を主訴に前医を受診し左前縦隔に約10cmの腫瘍を指摘された.生検にて未熟奇形腫と診断され,手術目的に当院へ紹介受診となった.採血上,AFP 2910ng/ml,HCG-β 64.4mIU/mlと高値を認め,混合型胚細胞性腫瘍の診断でBEP療法を4コース施行した.BEP開始後よりAFP,HCG-βの低下を認め,4コース終了時点で正常化し腫瘍も縮小傾向を認めたため縦隔腫瘍切除術を施行した.術後病理組織では腫瘍の約1/4が壊死に陥っており,残る4/3に未熟奇形腫の像を認めた.術後はAFP,HCG-βの上昇なく,術後9年現在無再発生存中である.
症例2;28歳男性.健診異常影にて前医を受診した.前年の健診で異常の指摘はなかった.前縦隔に約6cmの腫瘍を認め,手術目的に当院へ紹介受診となった.AFP,HCG-βの上昇は認めず奇形腫を疑い縦隔腫瘍摘出術を施行した.術後病理組織にて未熟奇形腫と診断された.完全切除であり,術後補助療法は行わず術後7ヶ月現在無再発生存中である.
症例3;21歳女性.健診異常影にて前医を受診した.2年前の健診で異常の指摘はなかった.前縦隔に約8cmの腫瘍を認め,手術目的に当院へ紹介受診となった.AFP,HCG-βの上昇は認めず縦隔奇形腫を疑い縦隔腫瘍摘出術を施行した.術後病理組織にて未熟奇形腫と診断された.未熟成分は50%以下で完全切除であり,術後化学療法は行わず術後3ヶ月現在無再発生存中である.
第55回日本肺癌学会総会 2014年11月開催

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