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P-769.孤立性結節を呈し肺癌との鑑別を要した肺真菌症の2例
濱中 一敏1・曽根原 圭2・蜂谷  勤2
諏訪赤十字病院呼吸器外科1;諏訪赤十字病院呼吸器科2

【緒言】肺真菌症は日和見感染として重要な位置を占め,免疫不全患者においてはしばしば重篤となりうる.一方,健常人にもおいても感染を生じることがあり,時に肺癌などとの鑑別が問題となることがある.孤立性結節を呈した肺真菌症の2例を提示する.【症例1】60歳代男性,検診で胸部異常影を指摘され,CTで右上葉に7mmの経過で増大する充実性結節を認めた.FDG-PETでSUVmax6.1の高集積を認め,肺癌が疑われたため手術の方針となった.術中迅速診断では肉芽腫と診断され,VATS部分切除にて終了した.術後病理所見で肺クリプトコッカス症と診断された.結節の増大速度,PET高集積などを考慮し,予防的にFLCZ 200mg/日を3か月投与した.【症例2】80歳代女性,他疾患CTフォロー中,右肺下葉に8mmの充実性結節を指摘された.FDG-PETではSUVmax2.5の集積を認めた.炎症性結節も疑われたが,肺癌が否定できないため手術の方針となった.迅速診断で肺真菌症と診断され,VATS部分切除にて終了した.術後病理所見で肺カンジダ症が疑われた.術後は高齢であることを考慮し予防的にFLCZ 100mg/日を2か月投与した.【考察】FDG-PET陽性で肺癌との鑑別を要した肺真菌症の2例を経験した.健常者における肺結節の鑑別においても,真菌症の存在を考慮する必要があると考えられた.切除後の予防的抗真菌薬投与については一定の見解はなく,今回の2症例は臨床所見や年齢から予防投与を行う方針とした.
第55回日本肺癌学会総会 2014年11月開催

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