Poster157
症例報告17:合併症
座長:()
P-977.皮下気腫増悪症例に対するペンローズドレーン皮下ドレナージの検討
船越 康信1・大森 謙一1・武田 伸一1・谷尾 吉郎2・上野 清伸2・赤沢 結貴2・高島 純平2・松村 晃秀3
大阪府立急性期総合医療センター1;同呼吸器内科2;国立病院機構近畿中央胸部疾患センター呼吸器外科3

【はじめに】全面癒着,葉間分葉不全症例や肺気腫合併症例における肺癌手術術後に難治性の皮下気腫が発生し対処に難渋することがある.【対象と方法】対象は肺癌手術術後に増悪する皮下気腫を認めペンローズドレーンを皮下に挿入しドレナージを施行した5例.ドレーン挿入中の症例はまずドレーン吸引圧の調整を行い,胸腔内にスペースのある症例ではドレーンの追加挿入を行ったが,上記処置で対処できない症例で鎖骨上へ気腫が急速に進展増悪した症例を適応とした.【結果】全例男性で平均年齢は69.8歳であった.喫煙歴なしが1例あったが,他の4例は重喫煙者であった.組織型は腺癌3例,扁平上皮癌2例.術式は左上葉部分切除1例,右上葉切除1例,右下葉切除2例,左下葉切除1例であった.アプローチは鏡視下4例,開胸1例であり,閉胸前のリークテストで3例はリーク無し,2例はわずかなリークのみであり,挿入ドレーンは各1本のみであった.皮下気腫増悪はドレーン抜去後に出現増悪した症例が4例,ドレーン挿入中の増悪が1例であり,皮下気腫増悪時の胸部X線では胸腔内にスペースほとんど無し1例,鎖骨上に小スペースのみ4例であった.ペンローズ挿入は前胸壁に2本が4例,前胸壁に2本+側胸部に2本の計4本が1例であった.ペンローズ挿入期間は平均6.9日(5-10日)であった.皮下気腫の遷延する症例には周辺のマッサージを加えることで頸部の気腫軽減を図った.【結語】皮下気腫が顔面頸部まで伸展する場合には,生命の危険があり早急な対処が必要となる.皮下ドレナージは簡便に行え,皮下気腫増悪症例に対して有用な手法である思われる.
第55回日本肺癌学会総会 2014年11月開催

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