一般演題(ポスター)124
脳転移3
座長:沖本 智昭(兵庫県立粒子線医療センター放射線科)
P-798.画像所見を伴わない髄膜癌腫症15例の検討
三枝 美香・野口 理絵・櫻井 章吾・赤松 泰介・山本 輝人・宍戸 雄一郎・秋田 剛史・朝田 和博・白井 敏博・江藤  尚
静岡県立総合病院呼吸器内科

【背景】髄膜癌腫症は多彩な神経症状を呈し,症状コントロールに難渋することが多いため,適切に診断する必要がある.元来,髄膜癌腫症は稀な疾患とされていたが,近年の肺癌に対する集学的治療の進歩によって生存期間が延長し,髄膜癌腫症と診断される症例が増え,さらに近年の画像診断の発達により画像所見で髄膜癌腫症を診断される機会が増えている.【目的】画像検査では明らかな所見を認めなかった肺癌による髄膜癌腫症症例を検討する.【対象・方法】2006年4月から2015年3月に当科へ通院もしくは入院していた肺癌患者で髄膜癌腫症を疑われ画像検査および病理学的検査を施行された76名・85髄液検査のうち,画像所見では明らかな所見を認めなかったにも関わらず病理学的検査で髄膜癌腫症と診断された15名・16髄液検査について後方視的に検討を行った.【結果】男性11名,女性4名.年齢中央値63歳(52-82歳).肺腺癌14名,小細胞肺癌1名.症状は多い順に嘔気嘔吐・運動障害7名,頭痛・意識障害3名,見当識障害・高次脳機能障害・めまい・複視・痙攣2名であった.髄液検査では,細胞数中央値23(6-35)/mm3,蛋白中央値69(20-1320)mg/dl,糖中央値55(2-102)mg/dl,CEA中央値231.0(2.8-610.0)ng/mlであった.【考察】画像検査で所見に乏しくても,髄膜癌腫症を疑う症状を呈している際には積極的に髄液検査を行う必要があると考えられた.
第56回日本肺癌学会総会 2015年11月開催

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