一般演題(ポスター)36
転移性肺腫瘍1
座長:海老 規之(飯塚病院呼吸器腫瘍内科)
P-215.悪性度不明な平滑筋腫瘍Smooth muscle tumor of uncertain malignant potential(STUMP)肺転移の1例
山本 恭通・星野 大葵・小阪 真二
島根県立中央病院呼吸器外科

 症例は59歳女性.1998年から子宮筋腫を指摘されていた.2013年2月より下腹部腫大を自覚し当院産婦人科受診した.CT上12cmの子宮腫瘤を認め子宮平滑筋腫と診断した.肺野に異常陰影は認めず縦隔リンパ節腫大もなかった.4月子宮全摘と両側付属器切除で腫瘤を完全切除した.子宮左側壁から後壁に発生した子宮腫瘤の病理診断はごく一部で1HPFに4個程度の核分裂像を認めたが癌胎児性蛋白IPM3陰性で平滑筋肉腫が否定され,Smooth muscle tumor of uncertain malignant potential(STUMP)であった.2014年4月のCTで数mmの多発肺結節を認めた.骨盤内再発はなく多発肺癌や他臓器癌の肺転移が疑われ肺生検を依頼された.FEG-PETで肺結節含め異常集積は認めなかった.2014年7月両側肺の多発肺結節のうち右肺2カ所の結節を切除し肺生検を行った.いずれもSTUMPの肺転移であった.子宮平滑筋肉腫に準じてゲムシタビンとドセタキセル化学療法を4サイクル施行したが新たに腹部大動脈周囲リンパ節転移が出現し肺転移も増大し効果判定は無効であった.現在緩和治療中である.
 子宮平滑筋腫瘍は平滑筋腫と平滑筋肉腫に大別され後者は転移能がきわめて高く肺への転移が起こることは知られている.しかし子宮平滑筋腫ないし平滑筋肉腫に属さない平滑筋腫瘍があり2003年の子宮体部腫瘍のWHO組織学的分類でSTUMPと称されている.比較的珍しい子宮平滑筋腫瘍であるSTUMPの肺転移症例を経験したので文献的考察を加え報告する.
第56回日本肺癌学会総会 2015年11月開催

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