一般演題(ポスター)86
稀な腫瘍11
座長:武井 秀史(杏林大学外科(呼吸器・甲状腺))
P-543.気管支・肺カルチノイド治癒切除後の長期予後についての解析
出嶋  仁・坂倉 範昭・瀬戸 克年・飯塚 修平・直海  晃・水野 鉄也・黒田 浩章・坂尾 幸則
愛知県がんセンター呼吸器外科

[背景]気管支・肺カルチノイドは予後良好な低悪性度腫瘍として認識されているが,必要観察期間や適応術式,最終転機などまとまった報告は少ない.[対象と方法]1978年9月から2014年9月まで,当院におけるカルチノイド治癒切除40例の予後因子について臨床病理学的に解析した.[結果]観察期間中央値は6.9年(0.1〜21.2年).下記因子と予後の関係を検討した.年齢;中央値56歳(19〜76歳),性;男/女:19/21例,発生部位;右/左:25/15例,中枢型/末梢型/不明:23/14/3例,組織型;定型/非定型/不明:24/10/6例,術式;縮小手術/気管支形成術のみ/肺葉切除/気管支形成を要する肺葉切除/全摘:3/2/22/10/3例,リンパ節転移;pN−/+/不明:30/9/1例.全体の5年生存率は91.5%,10年生存率は86.4%であった.術後再発を認めたものは10例あり,これらの観察期間中央値は9.8年(1.3〜16.4年),無再発期間中央値は3.2年(0.9〜12.0年)であり,非定型,左側,pN+症例に多く再発が生じていた(p<0.05).中枢型と末梢型における再発率に有意差はなかったが,10例中5例が断端もしくは同側縦隔リンパ節の再発であり,そのうち4例が縮小手術もしくは気管支形成例であった.40例中9例が死亡し,8例が原病死であった.これら8例の生存期間中央値は13.8年(1.3〜16.4年)と10年を超えていた.[考察]再発症例の半数が同側胸腔内の再発であり,縮小手術および気管支形成例に多く,長期的には切除マージンが不十分であった可能性が示唆された.また原病死8例の術後生存中央値が10年を超えていることにも注意を要する.カルチノイドは低悪性度腫瘍であると認識されているが,原発性肺癌としての標準手術の必要性,長期にわたる術後観察期間の必要性が示唆された.
第56回日本肺癌学会総会 2015年11月開催

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