一般演題(ポスター)97
手術2
座長:長島  誠(東邦大学医療センター佐倉病院外科)
P-624.発症機序の異なる乳び胸2例に対する胸腔鏡下手術
一瀬 淳二・乾  雅人・田中 真人
JR東京総合病院呼吸器外科

【はじめに】発症機序の異なる乳び胸2例に対し胸腔鏡下手術を行い良好な結果を得たため診療経過・手術所見を供覧する.
【症例1】70歳女性.労作時息切れが出現し胸部X線写真で両側胸水貯留を指摘され胸腔穿刺にて乳び胸と診断.リンパ管シンチにて右肺門部付近のリンパ漏出が確認された.胸部CTで両側胸水に加え右中葉無気肺を認め,気管支鏡にて右中葉支入口部に粘膜浮腫による高度狭窄を認めたが鉗子の通過は容易であり腫瘍性病変は否定的であった.特発性の胸管閉塞によりリンパ流がうっ滞し,気管支粘膜浮腫に伴う右中葉無気肺,リンパ管破綻による乳び胸を発症したと考え,手術を行った.肺靭帯近傍に5cm大のリンパ管腫を認め,胸管を結紮切離し流出入する拡張リンパ管を複数処理してリンパ管腫を切除した.術中右中葉無気肺の消失を確認した.術後3日目にドレーン抜去,術後5日目に退院した.
【症例2】66歳男性.右肺癌(腺癌,pT2aN0M0,IB期)に対し胸腔鏡下右下葉切除・縦隔リンパ節郭清(ND2a-1)施行.気管分岐下リンパ節郭清の際は電気メスを使用した.術翌日夕食より常食を全量摂取.術後2日目に排液量200mL/日でありドレーンを抜去した.術後4日目より右胸水貯留を認め術後6日目に胸腔穿刺を行い乳び胸と診断.貯留していた2700mLの乳び胸水を排液した.絶食後も排液量700mL/日であり,栄養状態不良でうつ病があることも考慮し,術後9日目に再手術を行った.気管分岐下郭清の際の食道剥離部にリンパ管の断端がありリンパ液の漏出を認め結紮した.また食道から右主気管支へわたるリンパ管を2本認め結紮した.横隔膜近傍で食道と大動脈の間を剥離し胸管を同定して結紮した.術翌日より常食を開始し乳び胸を認めず術後4日目にドレーン抜去,術後7日目に退院した.
第56回日本肺癌学会総会 2015年11月開催

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