一般演題(ポスター)19
転移性肺腫瘍 2
座長:加藤 良二(東邦大学医療センター佐倉病院外科)
P-1-127.急速に進行した乳腺葉状腫瘍胸腔内再発の1例
石橋 史博1・山本 高義1・松井由紀子1・芦沼 宏典2・吉田 泰司2・板倉 明司2・新行内雅斗2・杉山 孝弘3・荒木 章伸3・伊丹真紀子3・吉田 成利1・飯笹 俊彦1
千葉県がんセンター呼吸器外科1;千葉県がんセンター呼吸器内科2;千葉県がんセンター臨床病理部3

【背景】乳腺葉状腫瘍は全乳腺腫瘍の0.3~0.9%と比較的稀な腫瘍であり,肺や骨などに遠隔転移をきたすことが多い.急速な経過を辿った乳腺葉状腫瘍胸腔内再発の1例を経験したので報告する.【症例】58歳女性.7年前に前医にて左乳腺腫瘍に対し腫瘍摘出術施行,葉状腫瘍(境界悪性型)と診断された.2ヵ月前より背部痛,左前胸部違和感を自覚,症状が持続したため近医を受診.胸部レントゲン上,左胸水を認め,胸部CTでは左胸腔内に径12cm大の腫瘤を認めた.胸水からは悪性所見は認められなかったが,乳腺葉状腫瘍の胸腔内再発が疑われ,精査加療目的に当科紹介受診された.当科初診時は労作時呼吸困難の増強,両下肢浮腫がみられ,胸部CTでは左胸腔内の腫瘤は径15cmと増大,胸壁への浸潤,縦隔の右方偏位も認められた.入院後,CTガイド下生検を施行.組織所見では紡錘形の腫瘍細胞の増殖,核分裂像を認め,乳腺葉状腫瘍の再発が考えられた.全身状態および画像所見から手術適応はないと判断し,化学療法が予定されたが,病変の進行に伴い全身状態は悪化し,入院後10日目で永眠された.【結語】乳腺葉状腫瘍は初発時に非悪性と診断されても,再発時に悪性転化することがあり,その予後は不良である.本症例は稀な疾患であり,臨床像や病理像などについて,文献的考察を加えて報告する.
第57回日本肺癌学会学術集会 2016年12月開催

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