【背景】直腸癌の気管・気管支内転移は頻度が低く，予後が不良とされている．【目的】今回我々は直腸癌の気管・気管支内転移に対し，気管支鏡下治療を行った3症例を経験したので報告する．【症例1】80歳台，女性．直腸癌手術後11年目に直腸癌転移性肺腫瘍に対し胸腔鏡下右上葉切除を施行．肺切除術後7年目に気管から左主気管支内腔にかけて腫瘍を認め，軟性気管支鏡下レーザー焼灼術を施行．その7か月後に再度，左主気管支内の腫瘍による気管支閉塞を認めたため，軟性気管支鏡下レーザー焼灼術と化学放射線療法を施行．現在，気管支転移に対する治療から4年経過し，再発無く生存中である．【症例2】70歳台，男性．直腸癌手術後4年目に転移性肺腫瘍を認め，胸腔鏡下左上葉切除を施行．肺切除術後2年目に気管分岐部に転移性腫瘍を認めたため，硬性気管支鏡下腫瘍摘出術，APC焼灼術を施行．術後化学療法を施行し，現在，気管分岐部転移の治療後から再発なく，1年経過している．【症例3】60歳台，女性．直腸癌術後翌年に局所再発，多発リンパ節転移，両側肺転移を認め，化学療法を施行．しかし，肺腫瘍の増大を認め，直腸癌術後2年目に胸腔鏡下右S3区域切除，翌年左側肺転移と右主気管支内にポリープ状の腫瘤を認めた．先行して，胸腔鏡下左肺部分切除を施行．肺切除1か月後に，軟性気管支鏡下にAPC焼灼を施行．今後化学療法を予定している．【結語】直腸癌肺転移切除後に気管・気管支内転移を認めた3症例を経験した．気管支内転移に対しては気管支鏡下治療と化学放射線療法を組み合わせることで，予後が期待できると考えた．