一般演題(口演)12
症例報告(肺がん)2
座長:佐野 由文(愛媛大学大学院医学系研究科心臓血管・呼吸器外科学)
O12-5.複数回にわたる多発肺転移,縦隔・肺門リンパ節転移切除により長期生存が得られている肝芽腫の1例
*鈴木 千尋・吉田 周平・松本  勲・田中 雄亮・齋藤 大輔・懸川 誠一・田村 昌也・竹村 博文
金沢大学先進総合外科(呼吸器外科)

【はじめに】肝芽腫の遠隔転移は肺が最多であり,放射線治療は有効でなく化学療法での根治は困難である.今回我々は複数回にわたる肺転移および縦隔・肺門リンパ節切除により長期生存が得られている症例を経験したので報告する.【症例】手術(初回肺転移切除)時年齢2歳7か月,女児.初発時に肝右葉を中心とした巨大腫瘤,肝内転移および多発肺転移を認め,PRETEXT IV期の肝芽腫と診断.術前化学療法としてCITA療法3コース施行後に拡大肝右葉切除+左肝部分切除術を施行.術後化学療法としてCITA療法を2コース終了後に肺転移の消失が得られた.その後2コース追加し治療終了とするも,翌月のCTにて多発肺転移を指摘され切除目的に当科紹介.以後化学療法との組み合わせで,消失しない肺転移巣に対して合計16か所の肺転移および3か所の縦隔・肺門リンパ節転移の切除を施行した(計11回の全身麻酔下手術).術式の内訳は部分切除/葉切除/縦隔・肺門リンパ節切除が11/2/3回.現在初回肺手術より5年3ヶ月経過し画像上再発を認めていない.【考察および結語】肝芽腫においては化学療法抵抗性の遠隔転移病変に対して,積極的な肺/縦隔・肺門リンパ節切除により予後を改善する可能性があると考えられる.
第58回日本肺癌学会学術集会 2017年10月開催

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