一般演題(ポスター)21
Patient Management,予後予測
座長:廣瀬  敬(日本医科大学多摩永山病院呼吸器・腫瘍内科)
P21-3.腫瘍随伴症候群により全身状態が急速に悪化した小細胞肺癌に対し化学療法が奏効した1例
*高田 宗尚
石川県済生会金沢病院

【緒言】肺癌診療ガイドラインでは癌が原因でPSが不良の限局型小細胞肺癌に対する化学療法が勧められている.今回腫瘍随伴症候群である皮膚筋炎のため全身状態が急速に悪化した小細胞肺癌に対し化学療法が奏効し状態が劇的に改善した1例を経験したので報告する.【症例】72歳男性,喫煙者.全身筋肉痛,筋力低下を自覚し前医を受診.胸部CTにてリンパ節転移を伴う左上葉肺癌と診断.その後2週間で筋肉痛は急速に増悪し坐位保持も不能なPS4となり緩和治療目的に当院へ紹介.紹介時の身体所見では顔面/体幹に紅斑を認め,血液検査ではCKの上昇(10196IU/L),体幹部MRIT2像では両側上腕筋層内の高信号があり皮膚筋炎と診断.血液検査ではProGRPとNSEの高度上昇(1428pg/ml,127ng/ml)あり,PET,頭部MRIでは遠隔転移なく限局型小細胞肺癌(cT2aN3M0 IIIB期)と診断.患者家族の意向から皮膚筋炎症状に対するステロイド治療(プレドニゾロン40mg/body/日)を開始するもさらに状態は悪化.腫瘍随伴症候群の皮膚筋炎により全身状態は急速に悪化していたが,小細胞肺癌に対する化学療法により改善する可能性があると考え,紹介から2ヵ月後より全身化学療法(CBDCA AUC4,VP-16 50mg/m2隔日投与)を開始.1コース目開始直後より筋肉痛は劇的に改善,3コース施行後にはPS1となり自宅退院.血液検査ではCK,ProGRP,NSEは正常化.紹介から5ヵ月後CTにて縦隔リンパ節が増大し胸部への放射線治療を追加.その後,肝転移,脳転移が出現し2次治療AMR,3次治療CPT-11を施行,脳へのガンマナイフ治療を施行.現在外来にてCPT-11を継続中.【まとめ】腫瘍随伴症候群のため急速に状態が悪化した小細胞肺癌に対し化学療法が奏効した1例を経験した.PS不良小細胞肺癌症例に対する化学療法について文献的考察を踏まえて検討する.
第58回日本肺癌学会学術集会 2017年10月開催

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