一般演題(ポスター)47
その他3
座長:池田 晋悟(三井記念病院呼吸器外科)
P47-1.Vanishing lungを呈した成人先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)の一例
*浅川 文香・堀尾 裕俊・山道  尭・奥井 将之・原田 匡彦
がん・感染症センター都立駒込病院呼吸器外科

【症例】49歳男性.50本/日×30年の喫煙歴あり.X-3年に会社健診で胸部異常陰影を指摘されて近医を受診したが,自覚症状はなく通院を中断していた.その後再度胸部異常陰影を指摘され,X年3月に当科を紹介受診した.受診時に撮影した胸部レントゲン写真では,X-3年に撮影したものと比較して左胸腔の無血管野が増大していたのに加え,右側への縦隔偏位を認めた.胸部CTで左胸腔内に17cm大の巨大肺嚢胞を認め,巨大気腫性肺嚢胞症(Vanishing lung)の診断で手術の方針とした.X年5月,胸腔鏡下嚢胞切除術を施行した.胸腔内は広範に癒着し,嚢胞に圧排されていた左上葉および下葉の含気はほとんどなかった.嚢胞の基部は広く,上葉の一部とともに切除した.術後,十分な肺拡張が得られたのに加えて肺機能の改善がみられた.経過は良好で術後7日目に退院した.組織学的には,通常のbullaとは異なり嚢胞内腔が上皮で覆われており,上皮は気管支~細気管支上皮に類似することから先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)1型と診断された.
【まとめ】Vanishing lungはやせ型で重喫煙者の若年男性に好発する疾患である.一方,CCAMは先天性の嚢胞性疾患であるが成人発見例は稀であり,1997年から2015年までの間に成人発見されたCCAMに関する報告は10例ほどである.さらに50歳以上で発見されたCCAMの報告は2例のみで,Vanishing lungを契機として発見されたとする報告は我々が検索する限り存在しない.Giant bulla症例においてCCAM合併例が存在することを念頭において治療にあたるべきである.
第58回日本肺癌学会学術集会 2017年10月開催

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