一般演題(ポスター)65
肺癌の病理
座長:蔦  幸治(関西医科大学病態検査学講座)
P65-3.肺原発淡明細胞癌の取扱い規約第8版による再診断
*吉松  隆1・川野 大悟1・山下 直樹2・宗  哲哉2・下川 秀彦3・比嘉 花絵4・宮田 剛彰4
福岡和白病院呼吸器外科1;新小文字病院呼吸器外科2;新行橋病院呼吸器外科3;新久喜総合病院呼吸器外科4

【緒言】日本肺癌学会の肺癌取扱い規約第8版が2017年1月1日に発刊となり,これは2015年に改訂されたWHO組織分類4版を反映し,病理組織分類においては従来のいわゆる四大組織型から,腺癌,扁平上皮癌,神経内分泌腫瘍の三種類の細胞型を基本分類としている.この第8版において大細胞癌は形態的だけでなく免疫組織化学的にも分化不明の腫瘍に限定され,淡明細胞癌とラブドイド形質を伴う大細胞癌は削除された.そこで,今回我々が経験した淡明細胞癌を新規約に則り再診断した.【症例】70歳,女性.右上下肢の運動障害を自覚し当院初診.左前頭葉,頭頂葉に浮腫を伴う腫瘤を認め多発脳転移の診断.胸部単純レントゲン写真では左下肺野に5センチの塊状影を認め,CT所見では左肺下葉S10に辺縁整,境界明瞭,内部不均一に造影される腫瘤であり,他リンパ節腫脹,胸水,胸壁浸潤を認めなかった.PET検査ではSUV18.5,脳以外の全身転移,リンパ節転移は指摘されず,臨床病期T2aN0M1b原発性肺癌疑いの診断に至った.有症状の脳転移病変3箇所にガンマナイフ治療施行,症状軽快した.その後,全身化学療法を前提に胸腔内病変に対して左肺下葉切除及び縦隔リンパ節郭清(ND2a)施行,最終病理診断では大細胞肺癌(淡明細胞癌)と診断された.この度,新規約に基づき再診断すると,免疫染色において,p63(-),CK5/6(-),TTF-1(-)からLarge cell carcinoma,null type(with clear cell change)との診断となった.【結語】肺癌取扱い規約第8版から削除された大細胞癌の一亜型であった淡明細胞癌症例の再診断を試み,新規約の免疫染色による分類から大細胞癌(無分化形質)と診断した.
第58回日本肺癌学会学術集会 2017年10月開催

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