ワークショップ4
SBRT(vs. surgery)
座長:茂松 直之1, 中山 治彦2(慶應義塾大学病院放射線治療科1, 神奈川県立がんセンター呼吸器外科2
WS4-2.臨床病期IA期 非小細胞肺癌に対する定位放射線治療と縮小手術
*中尾 将之・加藤 大喜・園田  大・平田 佳史・一瀬 淳二・松浦 陽介・文  敏景・中川  健・奥村  栄
公益財団法人がん研有明病院呼吸器センター外科

【背景】定位放射線治療(SBRT)は,非小細胞肺癌に対する有効な局所治療であるが,現状では手術の代替治療として位置づけられている.実臨床においては,標準手術不可で消極的縮小切除を余儀なくされる場合にSBRTとの選択を迫られる場合がある.【目的】臨床病期IA期 非小細胞肺癌に対するSBRTと縮小手術の治療成績を比較検討する.【対象・方法】2005年から2012年に当院で治療を受けたcIA期非小細胞肺癌症例を対象とした.手術施行例の中から縮小切除(部分切除,区域切除)を受けた191例(縮小手術群)を抽出した.患者背景をできるだけ揃えるため,SBRT施行例の中から,耐術能ありと判断されながらもSBRTを希望し施行された36例(SBRT群)を抽出した.両群の背景および治療成績を後方視的に比較した.多発肺癌(同時および異時),病理未確診のSBRT例は除外.【結果】背景の比較では,75歳以上,喫煙歴,併存症あり,腫瘍径2cm以上,充実性陰影の割合などがSBRT群で有意に高率であった.5年全生存率,疾患特異的生存率ではSBRT群39%,56%に比べ,縮小手術群は94%,97%と良好であった.縮小手術群の中から消極的手術を施行された26例を抽出しSBRT群と同様の比較を行った.背景の比較では腫瘍径cm以上のみがSBRT群で高率であった.消極的縮小手術群の5年全生存率,疾患特異的生存率はそれぞれ85%,91%であり,やはりSBRT群を上回っていた.【結語】臨床病期IA期 非小細胞肺癌に対する治療成績は消極的縮小手術であってもSBRTより良好であった.耐術可能であれば縮小手術しかできない状況であっても切除を検討するべきと考える.
第58回日本肺癌学会学術集会 2017年10月開催

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