一般演題(口演)33
分子標的治療:ALK阻害剤
座長:高橋 利明(静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科)
O33-4.当科における使用経験からみたALK阻害剤の最大効果
*近石 泰弘1,2・小林 健一1・松宮 弘喜1・平良 彰浩1・名部 裕介1・篠原 伸二1・桑田 泰治1・平井 文子1・今西 直子1・市来 嘉伸1・田中 文啓1
産業医科大学第2外科1;神戸製鋼長府診療所2

【背景】ALK阻害剤は3種類承認されており,ALEX試験において,クリゾチニブと比較してアレクチニブの有用性が示されている.【目的】当科におけるALK阻害剤の使用状況を後方視的に検証し,ALK阻害剤の最大効果を検証する.【対象・方法】2018年5月まで当科でALK阻害剤を使用した9例の,臨床背景,治療状況,結果を検証.【結果】男/女 3/6例.全例腺癌でALK陽性.ALK阻害剤開始時平均年齢66歳(45-85歳).全例原発巣切除され,完全切除6例,不完全切除3例.ALK阻害剤の開始時期は,完全切除例:再燃時5例,術前1例.不完全切除例:術直後2例,再燃時1例.治療開始時の評価病変は胸郭内7例,脳内1例,その他2例(重複あり).クリゾチニブは計4例使用.使用lineは1次治療 2例,2次 1例,7次 1例.1次治療の無増悪期間 11か月,27か月.全例に有害事象あり.アレクチニブは全例に使用.使用lineは1次治療 6例,2次 1例,6次 1例.1次治療の6例中1例は副作用で中止(1か月),1例は本人希望で中止(3か月)して手術(Ef. 2),4例(脳転移例含む)は増悪なく投与中(観察期間中央値 24か月(5~27か月)).有害事象は1例のみ.セリチニブは計3例使用.使用lineは3次治療,5次,8次.2例はPRだが増悪(3か月,4か月),8次治療の1例は9.5か月コントロール中.2例に有害事象あり.ALK阻害剤の1次治療の治療効果はいずれもPRであり,治療開始後の全生存期間は4年生存率が71.4%(観察期間5か月~53か月,中央値 22か月).【まとめ】アレクチニブ投与後の切除例は治療効果Ef.2であり,術前投与に有用性の可能性がある.アレクチニブを使用例は,治療効果,安全性ともにクリゾチニブより良好な結果であった.
第59回日本肺癌学会学術集会 2018年11月開催

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