一般演題(ポスター)7
病理2
座長:福岡 順也(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科生命医科学講座病理診断科学)
P7-2.大腸癌加療経過中に発見された腸管型原発性肺腺癌の切除例
*小鹿 雅和1,3・岩崎賢太郎1,3・荒井 弘侑1・上田 竜太1・井上  寧1・望月 太一1・長瀬 清亮1・相田 真介2・林   和1・池田 徳彦3
国際医療福祉大学三田病院呼吸器センター1;国際医療福祉大学三田病院病理部2;東京医科大学病院呼吸器甲状腺外科3

 症例は5年前に直腸癌・左卵巣奇形腫の診断で腹腔胸下超低位前方切除術+回腸人工肛門増設+左付属器切除術施行.直腸癌(Rb Type2 N1 stage IIIb,v1,ly1)であった.経過観察の胸部CTで右S8末梢に分葉状,辺縁不整,大きさ9mmの胸膜陥入像,周囲収束を呈する結節を認めた.原発性肺癌,転移性肺腫瘍が鑑別に挙げられた.FDG-PETでは左S8の結節は集積に乏しく(SUVmax:E0.8),直腸癌再発,遠隔転移は認めなかった.診断治療目的で胸腔鏡下肺部分切除術を計画.術中迅速診断では高円柱細胞の管状増殖からなる腺癌,大腸癌に類似した組織形であるが,壊死は認めず腫瘍内の線維化を伴っている点は原発性肺癌としても矛盾しないが凍結標本では原発か転移の判断は困難であり,右肺下葉切除+縦隔リンパ節郭清術施行.免疫組織学的検索では肺腫瘍はCK20(-),CDX2(-),CK7(-),p53(-)であり,直腸癌の方はCK20(-),CDX2(-),CK7(-),p53(+)でp53の発現が直腸癌の発現と異なり肺原発の腸管型腺癌(pT1aN0M0 IA1)と診断した.WHO分類第8版にも記載されている腸管型肺腺癌は1991年に最初の報告がされた肺腺癌の特殊型で稀な腫瘍である.その特殊性より術前診断,術後免疫学的所見,遺伝子検索も含めた診断は原発性肺癌と大腸癌肺転移の鑑別が重要であり患者の治療計画に大きく影響することになる.今回我々は大腸癌加療経過中に発見された腸管型原発性肺腺癌の切除例を経験したので文献的考察を含めて報告する.
第59回日本肺癌学会学術集会 2018年11月開催

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