一般演題(ポスター)107
チーム医療2
座長:平島 智徳(大阪はびきの医療センター肺腫瘍内科)
P107-7.Nivolumabによる口唇炎・口内炎に対する多職種チーム医療の1例
*塩谷美由紀・吉田 千尋・大津 雅信・松本 裕子・宮井明日香・丸尾 良美・西山 花生・榎  恵子・吉本真里子・三崎 伯幸
高松市立みんなの病院

【はじめに】免疫チェックポイント阻害剤であるNivolumabは,免疫に関係する有害事象に注意が必要な薬剤である.口内炎の発現率は1~5%未満であり,口唇炎は1%以下と言われているが,口唇炎と口内炎が重症化した症例を経験した.症状改善に向けた多職種での関わりを報告する.【症例】60歳代女性,原発性肺癌(右下葉腺癌 pT2a1M1a stageIV)の診断で胸腔鏡下右S8区域切除術を実施.その後の化学療法3次治療としてNivolumab療法4クール終了後より口唇炎Grade1が出現した.5クール目投与時に口唇炎・口内炎Grade1で投与したが,投与day5に口唇炎・口内炎Grade3までの悪化とカンジダ性舌炎のため,食事摂取困難となり緊急入院した.補液や粘膜保護剤,ステロイド軟膏,ミコナゾールゲル剤の局所塗布と経腸成分栄養剤の服用を開始し,皮膚科医師へコンサルト.粘膜生検後にステロイド60mg/dayの全身投与が開始された.同時に,がん化学療法看護認定看護師,歯科衛生士,薬剤師,管理栄養士も協働し,患者の思いの傾聴や毎日の専門的な口腔ケア,局所麻酔薬入り含漱剤使用でのセルフケア方法の指導,薬剤指導や副作用管理,摂取可能な食事内容への変更など支持的介入を行った.ステロイド投与と多職種介入により,口唇炎と口内炎はGrade1まで改善され,体重減少なくQOLは改善し,ステロイドは20mg/dayまで減量でき,外来管理へと移行した.【結語】免疫チェックポイント阻害剤の有害事象発現は様々であり,出現率の低い口唇炎や口内炎も重症化すると食事量やQOLの低下につながる.症状改善には診療科医師だけでなく多職種での介入が有効である.
第59回日本肺癌学会学術集会 2018年11月開催

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