一般演題(ポスター)64
免疫療法(副作用)2
座長:中原 保治(国立病院機構姫路医療センター呼吸器内科)
P64-8.ニボルマブ長期投与中,インフルエンザワクチン接種後に心筋炎を発症した一例
*村田 順之1・近森 研一2・宇都宮利彰2・中西 将元2・坂本 健次1・青江 啓介2・前田 忠士2・亀井 治人1
山口宇部医療センター呼吸器内科1;山口宇部医療センター腫瘍内科2

 症例は喫煙歴のない70歳女性.X-8年に肺癌術後再発で当院に紹介され,CBDCA+PTX+Bev,PEM,GEM+VNRで化学療法を行ったが,病状進行したため,X-1年9月よりニボルマブ(Nivo)を導入した.SDでありNivoを継続,X年11月中旬に29コース目を投与した.インフルエンザワクチンを接種(受診5日前),その翌日から気分不良,発熱,嘔気が出現し,11月下旬に当院に受診.クレチンキナーゼは1046と上昇し,心電図で広範にST上昇が見られた.心筋梗塞を考えて循環器内科に紹介,心エコーでは壁運動は全体的に著明に低下していたが,冠動脈造影では有意な狭窄はなく,Nivoによる心筋炎と診断.IABP,血管拡張薬,利尿薬などの急性心不全治療に加え,ステロイドパルス療法を施行.心機能は改善し,ステロイドを漸減して1か月で退院.その後は化学療法なしで経過観察している.近年,免疫チェックポイント阻害薬の単剤あるいは併用による心筋炎の報告がなされているが,その発症は投与後早期が多い.本症例は投与から1年2か月,29コース終了後の心筋炎発症であり,インフルエンザワクチン接種が心筋炎の発症に関与した可能性も考えられる.
第59回日本肺癌学会学術集会 2018年11月開催

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