一般演題(口演)50
EGFR肺癌―Liquid
座長:猶木 克彦(北里大学医学部呼吸器内科)
O50-4.EGFRリキッド―EGFR変異解析プログラム
*加藤 菊也1・岡見 次郎2・東山 聖彦2・今村 文生3
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス領域1;大阪国際がんセンター呼吸器外科2;大阪国際がんセンター呼吸器内科3

 「EGFRリキッド」は,肺癌患者の癌組織から抽出したゲノムDNA,または血漿から抽出した血液中遊離DNAから次世代高速シークエンシング技術により決定した塩基配列を入力として,EGFR変異(エクソン19欠失,L858R,参考としてT790M)の陽性陰性判定を出力し,EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の効果判定を支援する医療機器プログラムである(2019年6月薬事申請予定).変異アレル検出感度はエクソン19欠失とT790Mが0.3%,L858Rが0.01%であり,従来の承認検査法よりも10倍以上高い.臨床性能を評価するために肺癌凍結組織から精製したDNA156検体を用いてPNA-LNA PCRクランプ法と比較したところ合致率98.1%,陽性的中率100%,陰性的中率97.8%だった.血漿DNAについては,生検組織を用いたクランプ法の結果を対照としたステージIIIB-IV患者172症例の検討結果で,感度と特異度はそれぞれ69.4%,100%(エクソン19欠失),71.9%,97.1%(L858R)であった(Uchida et al. Clin Chem 2015,51,1191).血漿DNAにおいて感度が低下するが,特異度が高いため実臨床に使用可能と思われる.現在生検検体を対象とした肺癌用遺伝子検査パネル(EGFR,ALK,ROS1,BRAFを承認申請予定)を新たに開発しており,少ない検査回数で正確な遺伝子変異情報の提供ができるように,例えば生検検査が困難な症例に対する血漿診断には「EGFRリキッド」を使用可能な一括した検査システムの確立を目指している.このパネルの分析性能についても簡単に紹介する.
第60回日本肺癌学会学術集会 2019年12月開催

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