一般演題(口演)14
サルベージ手術
座長:鈴木 健司1, 田中 文啓2(順天堂大学医学部附属順天堂医院1, 産業医科大学第2外科学2
O14-2.進行非小細胞肺癌に対する化学療法後のサルベージ手術施行例の臨床像と成績
*樋口 光徳1・山口  光1・鈴木 弘行2
福島県立医科大学会津医療センター呼吸器外科1;福島県立医科大学医学部呼吸器外科学講座2

【背景】近年,切除不能肺癌に対するサルベージ手術の報告が増えている.一方でサルベージ手術の安全性や効果については不明な点が多い.【対象】2017年から2021年までの5年間にサルベージ手術を施行した11例を対象とし,臨床病理学的因子について評価・解析した.【結果】性別は男性/女性=9/2.平均年齢は69.2歳(53-83歳).原発部位は右上葉/右下葉/左上葉=6/1/4.組織型は腺癌/LCNEC/扁平上皮癌=8/2/1.診断時の病期はstage IIIB/IVA/IVB=2/5/4.術前化学療法は,全例で分子標的治療(TKI群,n=5)または免疫チェックポイント阻害剤投与(ICI群,n=6)が行われた.11例全例でdown-stageが得られた.術後平均ドレナージ期間は5.6日(3-16日),術後平均在院期間は29.6日(7-150日)でグレード2以上の術後合併症は4例.手術関連死亡例はなかった.病理学的評価ではEf. 0/1/2/3=1/5/3/2.ICI群の2例で病理学的完全奏功(pCR)が得られた.一方で腫瘍遺残はTKI群,ICI群で1例ずつ存在した.術後の化学療法はpCR以外の症例では基本的に継続としたが,TKIやICIを継続した症例はそれぞれ4例と1例だった.術後平均follow-up期間は22.7ヶ月.再発症例は5例でmDFSは未到達.死亡例は5例でMSTは未到達.TKI群とICI群にはDFS,OS共に有意差はなかった.術後の最長生存期間は42ヶ月で無担癌.OSは術後合併症あり群(n=4)で術後合併症なし群(n=7)より不良傾向であった(p=0.08).【結語】術後成績は診断時の病期を考慮すれば満足のいく結果であった.ただし術後の合併症は生存に影響を及ぼす可能性がある.サルベージ手術症例の選択と術後のfollow-upはより慎重であるべきである.
第63回日本肺癌学会学術集会 2022年12月開催

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