一般演題(口演)23
周術期補助療法
座長:土谷 智史1, 中田 昌男2(富山大学呼吸器外科1, 川崎医科大学呼吸器外科学2
O23-1.高齢者肺癌に対する術後補助化学療法~S-1の連日投与および隔日投与のランダム化第二相試験(SLCG1201)~
*奥村 典仁1,3・山本 寛斉2,3・宗  淳一3・鈴木 弘行3・中田 昌男3・藤原 俊哉3・玄馬 顕一3・佐野  功3・藤永 卓司3・片岡 正文3・寺崎 泰宏3・藤本 伸一3・片岡 和彦3・堀田 勝幸3・吉岡 弘鎮3・森田 智視3・松尾恵太郎3・坂本 純一3・伊達 洋至3・豊岡 伸一2,3
倉敷中央病院呼吸器外科1;岡山大学医学部呼吸器外科2;瀬戸内肺癌研究会3

【背景】現在,肺癌診療ガイドラインでは大規模RCTの結果を踏まえて,pStageIA(>2cm)~IIIA完全切除例に対し補助化学療法を行うよう推奨されている.しかしこれらのRCTの対象は75歳以下が主体であり,高齢者に対しての補助化学療法に関する有用性は示されていない.近年増加している高齢者肺癌の切除例に対しても生存を改善するには高齢者に向けた補助化学療法の開発が望まれる.【目的】高齢者非小細胞肺癌完全切除例に対する補助化学療法としてS-1隔日投与の忍容性・有効性を検討する.【対象・方法】病理病期IA(T1bN0M0)/IB/II/IIIA(第7版)の75歳以上の非小細胞肺癌完全切除例を対象とし,A群(S-1隔日投与),B群(S-1 2週投与1週休薬)にランダム化し,各プロトコール治療を1年間継続.主要評価項目:投与完遂率(RDI≧70%での6か月間治療完遂割合と定義).副次評価項目:有害事象発生割合,RFS,OS【結果】2012年5月~2016年4月に19施設より101例を登録.2群に無作為化し最終的にA群49例,B群48例に対して各プロトコール治療を実施した.投与完遂割合:A群69.4%,B群64.6%.有害事象は両群で低く抑えられ,このうち食欲不振,皮膚症状,流涙はB群で有意に多かった.治療関連死は両群で見られなかった.5年RFS:A群56.9%,B群65.7%(p=0.218).【結論】高齢者非小細胞肺癌完全切除例に対するS-1隔日投与法による補助化学療法は低毒性で忍容性があることが示された.
第63回日本肺癌学会学術集会 2022年12月開催

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