一般演題(口演)72
肺臓炎・切除不能III期
座長:別所 昭宏1, 山崎 正弘2(岡山赤十字病院呼吸器内科1, 広島赤十字・原爆病院呼吸器科2
O72-6.局所進行期切除不能非小細胞肺癌に対する根治的化学放射線療法後のDurvalumab維持療法による治療効果の検討
*猪俣  頌・峯  勇人・渡部 晶之・武藤 哲史・岡部 直行・松村 勇輝・鈴木 弘行
福島県立医科大学呼吸器外科学講座

【緒言】局所進行期切除不能非小細胞肺癌の治療成績が,免疫チェックポイント阻害薬Durvalumabを化学放射線療法後の維持療法として追加することにより劇的に向上することがPACIFIC試験結果から示された.しかし実臨床でのデータは乏しく,その効果,有害事象は明らかにされていない現状である.そこで当院での使用状況とその有効性と安全性を検討した.【方法】2018年9月から2021年11月の間に,根治的化学放射線療法後にDurvalumabを投与した非小細胞肺癌患者を対象とし,その患者背景,治療効果,安全性を後ろ向きに検討した.【結果】10例の患者に根治的化学放射線療法が行われ,その後維持療法としてDurvalumabが投与された.年齢中央値は72.5歳(46-83),男女比:8/2,組織型は腺癌/扁平上皮癌:5/5,初発/術後再発:6/4,腫瘍細胞のPD-L1発現は50%以上/50%未満/不明:4/5/1,投与回数の中央値は6.5コース(1―25),完遂が3例,病勢進行で中止が4例,有害事象で中止が3例であった.有害事象はGrade3の肺臓炎2例と好中球減少が1例,Grade2の肺臓炎2例と好中球減少が1例であった.完遂した3例を含めて6例で再発なく経過,1例は再発後2次治療に移行,3例は死亡した.【結語】完遂症例では良好な予後が期待できる一方で,肺臓炎による治療の中断あるいは中止した症例を多く認めた.文献的考察を含めて報告する.
第63回日本肺癌学会学術集会 2022年12月開催

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